2010年04月08日
イダ・ヘンデルのバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
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古今の名演奏家がこの曲集の演奏、録音に繰り返し取り組んできたが、ポーランド生まれの女流ヴァイオリン奏者、イダ・ヘンデル(1924年生まれと推定される)は、1995年にようやく重い腰を上げ、全曲を録音した。
カール・フレッシュ、ジョルジュ・エネスコに師事し、10歳になる前からオイストラフ、ヌヴー、メニューインらと名声を競い合った天才少女は、ビーチャム、サージェント、クーベリック、チェリビダッケなどのお気に入りとなり、20世紀半ばには誰もが認める名演奏家となった。
しかし音楽のビジネス化を嫌い、スター性を拒否し、結果としてレコーディングからも距離を置き、我が道を行く演奏家となった。
20世紀後半の楽壇が、自ら発言しない演奏家は忘れられていく世の中になったのは惜しまれるが、ヘンデルも危うくそうなりかけた。
だが、彼女の名声は1990年代から復活の兆しをみせ、その結果として70代の声を聞く頃に、バッハの全曲録音に踏み切ったのである。
ヘンデルはもともとロマンティックな演奏家であった。
しかし、エネスコ、チェリビダッケとの出会いがそうした姿勢を改めさせ、解釈をより冷静に深めて、構造や構成をふまえたうえでの再現を志すようになっている。
そんなヘンデルの潔い名演奏家、生き方、考え方そのものから学べる名手によるバッハはさすがに感動の視野が豊かで、喜びにも拡がりがある。
さらに演奏家がもつべき吟持、プライドの高さも教えられる、愛すべき名演である。
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