2010年03月20日
ブリュッヘン&18世紀オーケストラのハイドン:ロンドン交響曲集(12曲)
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1934年オランダに生まれたブリュッヘンは当初、リコーダーやフラウト・トラヴェルソの名演奏家として脚光を集めたが、1981年に「18世紀オーケストラ」を組織、ハイドン、モーツァルト作品を主な対象とする新たな指揮活動を展開していった。
歴史的脈絡を大切にした作品の解釈、世界の傑出した古楽演奏家たちを結集させたオーケストラによる知的で、斬新で、情熱的な演奏は、たちまち聴き手にセンセーショナルな感動を与え、彼らは古楽オーケストラのニュー・リーダー的存在感すら見せるようになった。
その勢いはモダン・オーケストラのレパートリーからハイドン、モーツァルトを奪い取る、そんな事態すら招いたのだから、これは驚きであった。
今日では古楽オーケストラが果たした業績は広く認められ、またモダン・オーケストラに吸収される形で浸透している。
その分、過度の期待感もなくなってきたが、このハイドンのロンドン交響曲集を聴くと、古楽オーケストラが達成した成果の素晴らしさに唖然とさせられる。
混濁しない響きのさわやかさ、各声部の輪郭と存在感が際立ったアンサンブル、弦楽器の優しくも鋭い表現力、対照的に雄弁かつ多彩な管楽器、目も覚めるような打楽器の活躍ぶりなどを得て、ハイドン作品は一気に情報量を拡大、聴き手に新たな姿を見せるようになった。
しかもこのコンビの素晴らしさは、こうした特質の呈示で終わるのではなく、そこから彼らの演奏の掘り下げが始まる点であろう。
その結果、交響曲はあたかも作品自らが語り出す姿を顕し、私たちが予想もしていなかった感動の世界へと誘うものとなっている。
確かに古楽演奏は主観ではなく、いわば客観主義の成果といえよう。
しかし、客観主義も徹すれば人間的な幅広さが獲得され、主観も客観も超えたもうひとつ別次元の感動の領域へと分け入っていくことが可能となる、そんな奇跡を見せた演奏と言えようか。
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