2010年09月22日
ザンデルリンク&フィルハーモニア管のマーラー:交響曲第9番
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この曲にはテンシュテットとかベルティーニとか、注目すべき演奏がいくつもある。が、ここでは意表を突いてザンデルリンクの録音を挙げよう。
ザンデルリンクが作り出す音楽は、さしずめブロンズ像のようなもので、細部の再現性ではなく、全体の大づかみな構築を問うている。
だから、作品がたくましく聴こえる。
このたくましいとは、もちろん他人よりも大きな音を出すとか、響きが分厚いといったことではない。
例えば、両端楽章は大きな振幅でうねる。そのうねりに神経質なところがなく、実に自信があるのだ。
これで聴くと、ザンデルリンクが超一流オーケストラばかりでなく、二級楽団も頻繁に指揮していた理由がわかる。
こうした音楽作りなら、技量が超一流でなくても、指揮者の言いたい要点を実現できるのだ。
このザンデルリンク流が細部ほじくり型よりも容易な演奏法だということはまったくない。
単にうるさいところは強く弾き、メロディは歌いまくればこういう演奏になるかと言えば、そんなことはないのである。
フレージングの力学に通じ、どうすれば音楽が自然に流れるように聴こえるのかを知らなければならない。
ザンデルリンクはその技の極め付きの名手であり、彼の手にかかると、複雑なこの交響曲もじつにやすやすと流れていくのである。
例えば、第4楽章は誰もが心をこめて歌う楽章だが、感情移入という点ではバーンスタインらのほうがザンデルリンクよりもよほど熱烈だ。
ザンデルリンクの演奏では感情の力学ではなく、響きの力学に従って音楽が先に進む。
だから、この楽章がことさら嘆きとか悲しみを訴えることはなく、美的なものとして現れてくるのだ。
この太い名木を組み合わせて作ったような感触のフィナーレが私は大好きである。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年05月21日 10:11

2. Posted by 和田 2020年05月21日 12:37
ザンデルリンクは起承転結、音楽の進行の仕方がしっかりしていて、音楽がよどみなく流れます。この基本ラインがいつも守られているので、一流楽団でなくても聴き応えがします。
この人はフレーズのつかみ方、音楽の捉え方の息が短めなので、短いサイクルで音楽が変化するブラームスが特に向いており、実際、2種の交響曲全集はとてもいいですね。各パートがからみあって情感を豊かに湧き上がらせ、見事。指揮者の腕前は一目瞭然です。
この人はフレーズのつかみ方、音楽の捉え方の息が短めなので、短いサイクルで音楽が変化するブラームスが特に向いており、実際、2種の交響曲全集はとてもいいですね。各パートがからみあって情感を豊かに湧き上がらせ、見事。指揮者の腕前は一目瞭然です。