2010年06月25日
クライバーンのチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
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コンクールには賛否両論があるが、才能発掘の点で成果をあげたのは事実。
この名盤もコンクール直後に生まれた。
アメリカのクライバーンなる無名の青年がソ連が推す名うての若手演奏家を出しぬき、それもロシア人の心の調べともいうべきチャイコフスキーの《ピアノ協奏曲》を弾いて、第1回チャイコフスキー国際コンクールで優勝してしまったのである。
今から思えば政治色が審査に反映されなかったことは奇跡のような気もするが、その凱旋公演と同時期に収録されたこのチャイコフスキーに一貫しているのは溌剌とした太陽のような輝きである。
それはただ単に辣腕の名手が聴かせるドラマティックで、エネルギッシュな熱演というだけではない。
抒情的な詩的フレーズにも太陽の恵みを受けたかのような誇らしい高揚感があり、それが聴き手をどこか晴れやかな幸福感に誘ってしまうという稀に見る演奏になっている。
停滞せず常に前に駒を進めていく演奏、しかもそこには即興性があり、それが演奏をさらにスリリングで、緊迫感あふれるものにしていく。
それでいて決して不自然でも作為的でもない、聴き手を紛れもなくチャイコフスキーの世界へと誘い、陶酔させていく奇跡的名演なのである。
ロシア人指揮者コンドラシン(1914-81)はフルシチョフの特別のはからいでアメリカ行きが許されたというが、楽天的開放感に傾きがちの若きピアニストの手綱をしっかりと引き締め、きわめて密度濃い演奏を作り出している。
指揮者の貢献度も大きかったのである。
一方、ラフマニノフも、誠実で屈託のない表現が魅力的な演奏で、憂愁よりも、フレッシュなセンスが表に立った名演。
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