2010年08月24日
ベームの「コジ・ファン・トゥッテ」(1962年盤)
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戦前のブッシュ盤(グラインドボーン音楽祭の収録)をはじめとして《コジ》には名盤が少なくないが、ベームによるこの2度目の録音は非常に完成度の高いものだ。
ベームのモーツァルト・オペラ演奏の精髄がここにある。
いくぶん硬質な表現だが、モーツァルトの音楽がもつ高潔さ、美しさをこれほど見事に表出した演奏というのは、ほかにはない。
デリケートな美しさ、自発性の豊かさ、そして精神の純潔さに魅了される。
歌手ではまずフェランド役のクラウスの澄明な美声と凛とした歌いぶりが見事。極めつけの名唱といえよう。
シュヴァルツコップ(フィオルディリージ)とルートヴィヒ(ドラベッラ)という2人の組み合わせも理想的で、今日でも右に出るものがない。
このシュヴァルツコップとルートヴィヒのコンビの魅惑は圧倒的であり、どんな言葉を費やしても、この2人の名唱を誉めつくすことは不可能だ。
グリエルモを歌うタッデイは熱血漢タイプの男をリアルかつ微笑ましく歌い演じている。
ドン・アルフォンゾ役のベリーも実に味のある歌いぶり。
のちのグラモフォン盤の新録音では少し重くなるベームの棒も、ここでは滑らかに流れ、上機嫌な微笑みと機知を至る所に感じられる。
録音当時レッグが「今後20年間は生命を失うことのないレコード」と豪語したというエピソードもある。
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