2010年05月03日
シフラのリスト:ハンガリア狂詩曲全集
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今は故人となったジョルジュ・シフラについて一言しよう。
何しろ、この、ある意味では一代の名匠だったハンガリーのピアニストは、今日では忘れられかけた存在になっているのだから。
1921年ブダペストに生まれたシフラは、名高い作曲家=ピアニストのドホナーニに学び、第2次世界大戦によりキャリアを阻まれながらも、1950年代から、とりわけ"リスト弾き"として名を上げた。
シフラのリスト演奏は、いうならば往年のグランド・マナーを引き継ぐ、豪快かつ華麗なもので、戦後の即物主義に傾く演奏家のパノラマ中では異彩を放っていたといえる。
外面的なヴィルトゥオーゾ趣味に傾き、内容に乏しいといった批評もあったが、技の切れとともにハンガリー独特の情感を強く浮かび上がらせる演出には、他の追随を許さぬものがあったのも事実で、忘れるには惜しい往年の"リスト弾き"である。
さすがにハンガリー出身だけあって、シフラは、この曲のハンガリー・ジプシー音楽の感じを見事に表出している。
シフラは、ピアノをあたかもツィンバロンのように響かせ、そのヴィルトゥオーゾ風の身ぶりたっぷりの弾きぶりと相まって、この作品の特徴である疑似民族的な味わいを楽しませてくれる。
全体に即興性にとみ、生き生きとしているところが特色だ。
ことに第2番、第6番といった有名どころに、シフラの持ち味は申し分なく輝いている。
ただ曲によってはスケールの大きさに不足を感じるのも事実である。
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