2010年06月04日

クレンペラーのブルックナー:交響曲第5番


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滔々と流れる大河のような、とはよく用いられる比喩だが、この演奏を評する時ほど相応しいことはない。

川幅が広いので遠くから眺めると緩やかな流れに見えるのだが、近づいてみるとその膨大な水量がかなりの勢いで流れていたりするように、この演奏も途方もなくスローテンポで雄大でありながら、音楽の流れそのものは一切滞ることがないのである。

クレンペラーの演奏の常だが、外面は微笑みひとつなく無愛想で取っつきにくく、即物的なアプローチのように見えて、その実、分厚い殻の内側に無限のニュアンスが湛えられている。

その殻を打ち破るには、リスナーからの歩み寄りも必要だが、ひとたび、その殻の内側を知った者にその至福は一生の宝となる。

第1楽章から各フレーズの呼吸の深さに、まるで時計の針の進みが遅くなったような錯覚に囚われる。

しかし、その異次元に迷い込んだような感覚が大事なのだ。ブルックナーは非日常の異空間に鳴り響く音楽だからである。

我々も自らの意志で脈拍をゆっくりに整えるくらいの心構えで演奏と向き合わねばならない。

そうしてはじめて、第2楽章の熱い歌に、魂の奥の奥まで揺さぶられ、真に癒されることを実感できるのである。

フィナーレにおける対位法も、仰ぎ見る音の建築物のあまりの巨大さに圧倒されるが、コーダの壮麗なるクライマックスでは、ブルックナーが見たと同じ「光」を見ることができるかも知れない。

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classicalmusic at 18:40コメント(2)ブルックナー | クレンペラー 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2020年02月01日 09:55
3 クレンペラーは私も敬意を表する指揮者。彼の晩年のハイドン, モーツアルト, ベートーヴェン, ブルックナーそしてマーラーの演奏はどれも高い水準を示す秀演ぞろい。しかし, ブルックナーの4, 7, 9番は素晴らしものの, この5番だけはいただけません。確かに両端楽章は熱いものを感じますが, 私の一番好きな第2楽章のテンポが速すぎて落ち着かない。逆に, 第3楽章のスケルツオが遅すぎて切れ味が無い。残念ながら私の嗜好には合いませんでした。私の一押しはヨッフム盤で, 1964, 1980, 1986何れの年の演奏もお薦めです。演奏の凄絶さから言えば, カラヤン/ベルリンのライブ盤。でもこれは海賊盤でしか手に入らず, 正式なディスクが切望されます。
2. Posted by 和田   2020年02月01日 11:56
クレンペラーのブル5にはウィーン・フィルとのライヴ(1968年)もあり、音質も非常によく、彼のベスト盤のひとつに数えてよいと考えています。
演奏は朗々として豊かでよく歌っていますが、どこか渋いところがあって、抑制が全体を覆った、極めて格調の高い演奏です。
オケの音色も実にみずみずしく、ときには絶美とさえ言えましょう。
アダージョの深い響き、スケルツォの少しも力まない内部から湧き上がってくるブルックナーならではの狂躁感、まことに素晴らしさの極みで是非一聴をお勧めします。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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