2010年01月30日
セルのR.シュトラウス総集編
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細部までコントロールされた切れ味の鋭いR.シュトラウスである。
このスタイルが最も成功したのが「死と変容」で、ここではひとつひとつの音への追求が凄まじく、それが曲想とマッチしているため、すさまじい緊迫感を生み出している。
「ドン・キホーテ」は、この曲の代表的名盤。
明快率直、まさに青竹をすっぱりと割ったような表現である。
しかし、単に外面的な効果をねらったものではなく、楽譜の読みは実に鋭く、深い。
セルのアプローチは、全体が的確に見極められており、どこか一ヶ所だけが突出してしまうようなことなく、バランスがよい。
施された表情は、いずれもよく吟味されており、過不足なく多彩で、洗練されている。
クリーヴランド管弦楽団のすぐれた能力をフルに発揮させながら、各変奏を隙なく描きあげていく手腕は、実に見事だ。
各変奏の変化のつけ方も節度があり、ともすれば演出過剰になりがちな各変奏(特に第1,7変奏)をキリリと引き締めながら、ドン・キホーテの愉快なエピソードを巧みに描いている。
チェロ独奏にフルニエを起用したのも成功であり、傑出した演奏を聴かせる。
フルニエのチェロは実に巧く、垢ぬけしており、全体のなかに無理なく溶け込んでいる。
これはいかにもセルらしい、そして作曲家の弟子でもあった指揮者らしい精妙な演奏である。
「ティル」も同様で、明快な棒さばきできびきび運んでいく。
オーケストラのバランスがよく、ソロもうまい。オーケストラの力量にも舌を巻く。
もう少し遊びや余裕がほしいと思うのは無い物ねだりだろう。
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