2010年01月11日
プライ&ホカンソンのシューベルト:美しい水車小屋の娘
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ヘルマン・プライはこの歌曲集を、エンゲル、ホカンソン、ビアンコーニと、ピアニストを異にして、私の知る限りでは確か3回録音している。
そのなかでホカンソンとのこの1枚が筆者には好ましい。
内向的なF=ディースカウの歌唱に比べると、プライは直感的に歌い上げ、こみあげる思いを外に表出していくタイプだ。
F=ディースカウのように細かいところまではいかないけれど、よりシンプルというか歌う喜びのようなものを感じさせるし、プライの持っている独特の個性は、F=ディースカウとは逆の良さがあるように思う。
その明朗で新鮮な歌声はこの人ならではのもので、ひとりの青年の甘く悲しい恋愛物語を、実に素直に表現している。
ここでの彼は美声や技巧をひけらかすことなく、また誇張した表現も持ち込むことなく、比較的淡々と、あくまでも自然かつ素直に歌い進めている。
それがこの歌曲集にふさわしく、素朴な粉挽き男の哀歓がしっくりと心に伝わってくる。
この歌曲集は、どちらかと言えばテノールで聴くほうが似つかわしい。
しかしプライの"永遠の青年"を感じさせる多感な声の輝きと、バリトンならではの陰翳の深さは、まさに一篇田園的抒情の世界を鮮やかに描き出している。
まさに青春の牧歌劇である。
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