2010年06月23日
ポリーニのバッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻
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マウリツィオ・ポリーニは、20世紀が生んだ最大のピアニストの一人ではなかろうか。
彼は、どんな作曲家の作品でもバリバリ弾いてしまう、というようなタイプではなく、じっくりとその作品を研究してから、初めてそれを披露するという完璧主義者である。
だから、ショパンのものでも現代ものでも、その演奏は文句のつけようもない見事さだ。
そのポリーニが、いよいよバッハの作品に取り組んだ第1弾として出したのがこの1組である。
他の演奏家の名演も多いが、ポリーニの演奏は、作曲家のこの時期の曲の中の一つと位置付けた模範的名演だ。
ポリーニはバッハの前奏曲とフーガからなる「平均律」を次々に追いつめてゆく。
技の限りを尽くすのはどのピアニストだって同じだが、ポリーニの技は桁違い。
その技で、音楽の様式や必要な音色など、水ももらさぬ体制を築きながらどんどん音楽を凝縮し、揺るがぬかたちを作り上げてゆく。
まったく緩みがないままに、また光沢のある響きを失わないままに音楽が巨大になってゆく「フーガ」も凄いが、細部まで練磨しているのがかえって柔軟な表現まで生み、奥行きの深い演奏となっている「前奏曲」だってそれに負けない。
「音楽を間違いなく伝える」というところから、演奏そのものの価値を追求するようになったピアノ演奏の到達点のひとつだろう。
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