2015年07月23日
ミュンヒンガー&シュトゥットガルト室内管のバッハ:管弦楽組曲(全曲)
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LP時代初期、ヴィヴァルディの《四季》と並ぶ大ヒットを記録したバッハの《管弦楽組曲》。
ミュンヒンガーは、後発のレコードメーカーながらいち早くLPレコード製作に着手したデッカに成功をもたらした。
埋もれていた名曲《パッヘルベルのカノン》を世に出したのもミュンヒンガーで、バロック音楽ブームの火つけ役も担い、ローマ教皇やイギリス女王の御前でも演奏した。
ミュンヒンガーにとって3度目の当録音は、前2作よりも遅めのテンポで骨組みのしっかりした純ドイツ風の演奏になっている。
近年のバロック研究の成果として生まれた新たな解釈ではなく、オーソドックスなスタイルを根底においたバッハである。
ミュンヒンガーはバロック音楽作品を小編成のオーケストラで忠実に再現することにより、作品が持つテクスチュアそのものを浮き上がらせることに成功した指揮者だった。
だが、バロック音楽に飽き足らずフルオーケストラを志向し、シュトゥットガルト・クラシック・フィルを結成、そこでモーツァルトやベートーヴェンの交響曲を録音し、また、彼とシュトゥットガルト放送交響楽団との録音もある。
だが、ミュンヒンガーの名盤となるとバロック音楽を取り上げていたシュトゥットガルト室内管弦楽団のものになるだろう。
本盤に収められたバッハ《管弦楽組曲》、それに《ブランデンブルク協奏曲》《パッヘルベルのカノンーバロック音楽の楽しみ》は気品あるバロック音楽のスタンダードである。
ミュンヒンガーのバッハの演奏は、骨組みがドイツ的にがっしりしており、流麗で、しかも色調が渋く、古典的な香りをたたえているのが特色である。
この演奏も解釈そのものは、前2回の録音とほとんど変わりはないのだが、全体にややテンポを遅めにとり、丹念に仕上げており、音楽の内容がいちだんと円熟味と深みを増しているのが素晴らしい。
さらに今回は、今までの2回の録音よりも、響きと表情に丸みが加わり、柔らかくコクのある演奏になっている。
フルートにジャン=ピエール・ランパルではなくウィーン・フィルの首席フルート奏者、ヴォルフガング・シュルツを起用。
第2番のソロ・パートでウィーン風の洒脱な演奏が楽しめ、シュルツのテクニックも大変見事だ。
また、デッカから彼らのバッハの《管弦楽組曲第2番、第3番》と《ブランデンブルク協奏曲第2番、第6番》を1枚に収めたタイトルもリリースされている。
こちらは廉価盤シリーズでの発売なので比較的入手しやすく、ミュンヒンガー入門盤としてはお手ごろである。
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