2010年03月02日
カラヤン・ラスト・コンサート1988 展覧会の絵・ベートーヴェン第4番
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文字どおりカラヤンの最後の来日公演となった演奏で、死のわずか1年前に指揮されたものである。
しかし、演奏内容は磨き抜かれた美しさと壮麗なる輝かしさを誇っており、勢いもスケール感もまったく失われていない。
カラヤンが最後まで凛々しく、年齢に甘えない芸術家であったことを知らしめる、厳しく、妥協のない名演であり、これ1枚でもカラヤンの凄さが実感される。
ベルリン・フィルもそんなカラヤンの指揮に全力で応えているが、驚くべきはその表現の緻密さであり、ちょっとしたフレーズからもハッとするような美しさが聴かれて、身が引き締まる思いだ。
「展覧会の絵」はダイナミック・レンジが極めて広く、その迫力と精密さは言語を絶する。
ベルリン・フィルのアンサンブルの緻密さと、サウンドのゴージャスなことでは、その右に出るものはない。
過去3度の録音にも共通する都会指向の洗練味は相も変わらず魅力的で、カラヤンの平衡感覚の見事さと、ストーリーテラー的な巧さも他の追随を許さない。
ベルリン・フィルの手厚い表現力と輝かしい色彩を豊かに生かして各曲を緻密に磨きあげ、すばらしく聴き映えのする演奏をつくっている。
特に、充実した低弦に支えられた音楽の広がりと奥行き感は抜群で、自在に描かれたその表現がいっそう印象的になっている。
ベートーヴェンの交響曲第4番からも、カラヤンの新たな登頂への挑戦が伝わってくる。
きわめて流麗に流しながら、作品のもつ美しさ、躍動感をとことん追求した演奏だ。
スタジオ録音での完成された容姿にとらわれず、なりふりかまわずひたすらムジツィーレンの興趣を開放しているかのように思える。
老いてなお、これほどの若々しい表現を表出できたカラヤンのしなやかな感性には、驚く。
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