2010年04月21日
バレンボイム&クレンペラーのモーツァルト:ピアノ協奏曲第25番
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この曲は、モーツァルトのピアノ協奏曲中で最後から3番目にあたるわけだが、その書法の充実ぶりとスケールの大きさで、このジャンルでのモーツァルトの創作の頂点を極めるものと言うことができる。
この曲のそうしたスケールの大きさ、壮麗さが見事に表出されているのは、若き日のバレンボイムが最晩年の巨匠クレンペラーと共演したディスクである。
この組み合わせで、スケールの大きな作品である第25番を選んで演奏したことが、まさに一期一会とも言うべき稀有な成果を挙げている。
クレンペラーの指揮によって、作品は筆舌に尽くしがたい深遠さと巨大さを獲得する。
そこに精妙にして情感に富んだバレンボイムの初々しいピアニズムが絡む。
クレンペラーの悠然たるテンポ、巨大で確固たる造形に身をまかせて、バレンボイムがみずみずしく、しかも表情豊かな演奏を聴かせる。
確かにこの協奏曲は、ハ長調で書かれた平明で壮大な曲ではあるが、実はしばしば短調に傾き、光と影の微妙な交錯を宿している。
バレンボイム/クレンペラーの演奏は、この曲の魅力であるそうした崇高な翳りと輝きの交錯を表現することにおいて最高である。
曲中でつねに重要な役割を果たす木管楽器の美しさも特筆すべきであろう。
クレンペラーの偉大さと若きバレンボイムの早熟な才能。まさに記念碑的名盤と言うにふさわしい。
モーツァルトの繊細な光と影の世界を偉大な造形のなかに現出させた、後世に語り継がれるべき至高の名演だ。
バレンボイムはこのあと、2度この曲を録音し、それらも素晴らしい演奏だが、最初の録音の印象があまりにも強すぎる。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2019年12月19日 09:22

2. Posted by 和田 2019年12月19日 12:13
小島晶二さん、コメントありがとうございます。
バレンボイムは指揮者としてもピアニストとしても一流を極めた、史上唯一の演奏家だと考えています。
南米出身ながら、伝統的なシュターツカペレ・ベルリンから最もドイツ的な音を引き出しています。
私はコンサートで、前半にベートーヴェンのピアノ協奏曲の弾き振り、後半に交響曲を指揮する一連の来日公演に接しましたが、終演後何度も聴衆に呼び戻されてもアンコールに応えられないほどの大変な力演、熱演でした。
彼はモーツァルトのピアノ協奏曲全集は2度も録音しているのに、不思議なことに交響曲には着手していませんね。
またのコメントをお待ちしております。
バレンボイムは指揮者としてもピアニストとしても一流を極めた、史上唯一の演奏家だと考えています。
南米出身ながら、伝統的なシュターツカペレ・ベルリンから最もドイツ的な音を引き出しています。
私はコンサートで、前半にベートーヴェンのピアノ協奏曲の弾き振り、後半に交響曲を指揮する一連の来日公演に接しましたが、終演後何度も聴衆に呼び戻されてもアンコールに応えられないほどの大変な力演、熱演でした。
彼はモーツァルトのピアノ協奏曲全集は2度も録音しているのに、不思議なことに交響曲には着手していませんね。
またのコメントをお待ちしております。