2010年08月31日
バレンボイム&ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲全集
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バレンボイムは1970年代から80年代にかけてシカゴ交響楽団と全集を録音し、さらに1990年代にベルリン・フィルと2度目の全集を完成するなどブルックナーへの傾倒は並々ならぬものがある。
全体にきわめて積極性に富んだ表現で、感覚的にもみずみずしく、ベルリン・フィルの演奏もブルックナー独自の響きを着実に表現している。
第4番はバレンボイムの再録音のブルックナーでも注目すべき表現である。
ハース版を基本としながらも、それにとらわれず、演奏はブルックナーの古典主義を摘出したような解釈といえる。
その造形は端正で、決然とした力感と芳醇な歌にみちており、高潮と起伏の自然さも特筆に値する。
すべての角度から見て円熟の表現である。
バレンボイムには特有のアゴーギクがあり、そのテンポはときとして大きなうねりのように緩急をつける。
やや大時代がかった表情もあるが、第2楽章の、悲劇を思わせるような音楽表情は感動的だ。
ホルンが活躍するスケルツォ楽章の強弱法も聴きどころ。
第7番もバレンボイムの成熟ぶりをはっきりと示す演奏のひとつで、格段にスケールが大きい。
何よりもテンポがよく、デュナーミクも妥当、楽想が明晰である。
そこにロマン的な情緒があらわされ、その豊麗さと柔軟性で聴き手を説得する。
それでいながら、この作曲家の様式を客観的に把握した印象をあたえるのもバレンボイムらしい。
各種の楽譜を混用した演奏で、バレンボイムは第2楽章でノヴァーク版のシンバル他の打楽器を追加しているほか、ハースやレートリヒ版も部分的に採用しながら、ベルリン・フィルの高度な機能性を見事に生かしたスケールの大きな演奏を展開している。
第2楽章はフルトヴェングラーに代表される崇高なまでの神秘性には及ばないとはいえ、淀みのない音楽の自然な流れと、彫りの深い響きによる精彩あふれる表現は素晴らしい。
他の交響曲も純音楽的なブルックナーとして評価したい。
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