2010年05月09日
ロストロポーヴィチ&カラヤンのドヴォルザーク:チェロ協奏曲/チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲
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古くはカザルスとセル、ロストロポーヴィチとターリッヒ、ステレオ時代に入ってからはフルニエとセルといった名盤が存在するドヴォルザークのチェロ協奏曲だが、この1枚は全く格別の味わいを持っている。
1968年に録音されたこのロストロポーヴィチの5度目の録音は(それ以前に先述したターリッヒ/チェコ・フィル、ハイキン/モスクワ放送響と録音している)、彼の技術の絶頂期と、チェリストとしての音楽性の交差する時期の記録であると共に、カラヤンがベルリン・フィルという類稀なヴィルトゥオーゾ・オーケストラを手に入れ、「自分の楽器」としてそれを十全に使いこなし始めた時代の記録として圧倒的な演奏密度の濃さを示している。
ソリストと指揮者、オーケストラが四つに組んで、お互い負けじと火花を散らす有様が目に見えるような快演だ。
ロストロポーヴィチの朗々たる音色とスケール雄大な弾き方は比較するものとてなく、場合によってはオーケストラを前面にたてて自らはひっこむ読みの深さも彼ならでは。
カラヤンも一歩もひけをとらない。これだけ演奏効果のある伴奏も滅多に聴けない。
ロストロポーヴィチは、1970年代に入ってからは指揮者としての活動を徐々に増やし、チェリストとしての比重が軽くなっていく。
音楽家としての成熟とは別に演奏者という「技術屋、職人」としての能力の頂点に、この頃のロストロポーヴィチはいたのではなかろうか。
現代的なオーケストラの機能性と濃厚極まりないロマンティシズムを融合させたカラヤンとベルリン・フィルのサポートを得て、ロストロポーヴィチは雄大無比なロマン派的世界を歌い上げている。
スタジオ録音でありながら、一期一会の感興の高まりの中で生み出された稀有の熱演の趣きを湛えたこの演奏の説得力と存在感は、「不滅の名盤」と呼ぶにふさわしい。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年01月06日 10:03

2. Posted by 和田 2020年01月06日 12:23
私も同意見です。東西両巨頭の横綱相撲といったところでしょう。
カラヤンはリヒテルとのチャイコフスキーでもそうでしたが、それぞれが「これでもか!」とばかりにイニシアティヴの取り合い、結論の奪い合いというところがたいそうスリリングです。
小島さんがカラヤンのテンポが気になるとすれば、日頃、悠然と構えていることが多いカラヤンが熱くなっているからではないかと思います。
カラヤンはリヒテルとのチャイコフスキーでもそうでしたが、それぞれが「これでもか!」とばかりにイニシアティヴの取り合い、結論の奪い合いというところがたいそうスリリングです。
小島さんがカラヤンのテンポが気になるとすれば、日頃、悠然と構えていることが多いカラヤンが熱くなっているからではないかと思います。