2010年04月10日
C・デイヴィス&コンセルトヘボウのドヴォルザーク:交響曲第7-9番
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コリン・デイヴィスはイギリスの多くの指揮者がそうであるように、何事も極端に走ることのない妥当な演奏を聴かせる人だが、オペラでの活躍にも示されるように、無難なだけでない表情の豊かさが、その演奏を魅力的にしている。
コンセルトヘボウ管を指揮してのドヴォルザークでも、民俗的な香りを前面に押し出すことなく、節度を保ったきわめてノーブルな演奏を展開しているのだが、その端々に聴かれる直截ながら愛情を感じさせる表情の美しさは、作品の魅力を伝えて余すところがない。
デイヴィスはコンセルトヘボウ管と、ドヴォルザークの交響曲は最後の3曲を録音しているが、いずれも大変に美しい演奏となっている。
当時(1970年代後半)のデイヴィスはより率直で切れ味の鋭い音楽を作っていたが、それがこれらを交響的に表現して余すところがない。
3曲とも堅固に構築された演奏であり、これらが19世紀の交響曲としても傑出した作品であることを改めて感じさせる演奏でもある。
即ち、民族性などに頼らずとも、充分な存在価値を持つ作品であることを証明している。
「新世界より」はデイヴィスが真正面から真摯に取り組んでいる演奏で、いかにもダイヴィスらしく克明、堅実である。
彼がコンセルトヘボウを指揮した場合特にそういう特徴が表れるが、この演奏はその好例といえる。
従って、作品の古典的な形式を生かした実に力強い音楽となっている。
小手先の細工を弄せず、妥協を許さぬストレートなアプローチで、ダイナミックに音楽を進める。
ときおり個性的な解釈が顔を出すものの、基本的には決して奇を衒わない正攻法。
第1楽章の提示部を反復しているのもデイヴィスらしいが、これは交響的、純音楽的な姿勢で首尾一貫した演奏である。
それをコンセルトヘボウの豊かな響きが包み込んで、音楽的な充実感の極めて高い名演奏が実現している。
「交響的変奏曲」も同じ傾向の表現。
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