2010年06月20日

ヴァントのブラームス:交響曲全集(新盤)


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ヴァントは大器晩成の典型であり、また職人芸としての指揮芸術を全うしたマエストロではなかったかと思われる。

徹底した楽譜の読みと、時間を惜しまぬリハーサルを経て作品はようやく本来の姿・形を現わすのであり、そこに演奏家の個性や技が幅を利かしても意味がない。

作品はそれ以上に偉大で、しかも高みにあるのである、そんな実感に浸らせる尊い演奏を聴かせてきた。

手兵の北ドイツ放送交響楽団との演奏活動を最後まで愛し続けたヴァントだが、残されたこのブラームスも凛とした姿の美しさと底光りするような威厳に満ちあふれている。

オーケストラが誇る技術的水準の高さ、手に汗する白熱的興奮も素晴らしく、名演の鑑といいたくなる。

私はブラームスの交響曲に関して、あまり演出過多の演奏は最近どうも肌に合わなくなってきた。

特に第2番の本来の美しさを何のフィルターも通さずに直接聴きたいと思っていたとき、幸いにもこのヴァント盤に出会った。

不必要な飾りはなく、誠実でひたすらスコアのなかに表情を追い求める。今まで気づかなかったところに表情がある。地味であるが聴けば聴くほどに味わいが出てくる。いつのまにかなくてはならない名盤となっていた。

第2番以上に第3番のヴァントの演奏は充実している。

冒頭、オケをたっぷりと鳴らし厚い響きのうねりから、まるでブルックナーの交響曲のような多層的な表情の交差をつくり出している。

ここでヴァントはブラームスのスコアからもう一度新たな可能性を追求していることがわかる。

むろんそれは虚飾を加えるためでなく、曲の深部に向かって真摯に表現を見つめ直すためである。

これはヴァントのような真の巨匠にのみ可能な演奏だ。

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classicalmusic at 18:10コメント(2)ブラームス | ヴァント 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2020年02月17日 10:08
4 ギュンターヴァント。ドイツ本国は勿論日本でも人気のある指揮者で, 特にブルックナーでは独自の地位を占めている大指揮者!でもこの人の演奏を私はどうしても好きになれません。彼のベルリンフィルとの演奏はスコアの読みが深く, そのため念入りなリハーサルを要求したのは有名な逸話です。でもオーケストラの縦線をあれ程完璧に揃えられると, 崇高さを通り越して息苦しくなってしまいます。北ドイツ放送交響楽団との演奏ではそうした事はありませんが, 逆に粗さが目立っています。それに彼は静かに終了する楽章では弱音をフェードアウトさせることをせず, 短く切り終えてしまいます。全ての楽章が静かに終わるブラームスの交響曲3番ではそれが特に顕著で, 何とも余韻の無い演奏に感じます。これは完全に好みの問題ですが, 私の嗜好には合いません。残念。
2. Posted by 和田   2020年02月17日 11:30
ヴァントのブラームス演奏に関してはメルマガで書いたのが私見ですが、ご指摘のヴァントのブルックナーについては、ヴァント自身、ブルックナーをベートーヴェン以降最大の交響曲作家と考えていましたし、世間の評価もたいへん高いのは周知の通りです。
ところが私も、あと一歩のところでヴァントのブルックナーに陶酔できないでいます。
それは、ヴァントの演奏があまりに理詰めに過ぎるからかも知れません。
実演はいざ知らず、CDで聴くヴァントのアプローチは、息苦しいほどに正論づくしであります。ヴァントの厳しい眼差しは、再現される音に一点の曖昧さも許すことはありません。
むろん、正しいこと=悪のはずはありませんが、なぜかヴァントのブルックナーは心の扉を押し破ってくれません。特に、世評の高いベルリン・フィルとの一連のライヴ録音がそうです。その点、北ドイツ放送響との録音には一種の救いがあります。
私が北ドイツ放送響との演奏を、ベルリン盤の上に置く理由はただひとつ。北ドイツ放送響との演奏を石造りのゴシック教会とするなら、ベルリン・フィルとの演奏は、近代的なコンクリート建築のような印象を受けるからです。揺るぎなく立派でありながら、自然の温もりが足りない、とでも言えましょうか。
もっとも、ベルリン・フィルとの実演はさぞかし素晴らしかったに違いなく、私が述べたのはあくまでCDを聴いての印象です。実際、ベルリンでの録音は弦の倍音などが不足ぎみで響きの陶酔感が希薄です。
以上、長文失礼しました。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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