2010年04月24日
デュトワのビゼー:<アルルの女><カルメン>組曲
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豊かなキャリアを重ねた後、モントリオール交響楽団という意にかなった手兵を得たデュトワは、そこで根底からその機能を育て磨きあげ、"フランスの楽団よりもフランス的"と言われるようなオーケストラを手中にした。
この録音がなされた時点でも、すでに彼らは、音色、リリシズム、リズム感などのすべてを相互に向上させ、演奏と音楽との双方に洗練の度を加え、爽やかさも増して、それらの特質をすべて生かし得ている。
デュトワの表現はどこまでも上品で、エレガントなところが素晴らしい。
クリュイタンス盤と似た、おっとりとした上品な演奏で、デュトワは繊細な表情をつけながら、各曲を丹念に練り上げ、生き生きと描出しており、特に抒情的なナンバーの美しさは、筆舌につくし難いものがある。
サウンドも洗練されていて、モントリオール響のフランス的持ち味が、フルに発揮された例と言っていいだろう。
ことに管楽器の名人芸には舌を巻いてしまう。
「アルルの女」は遅めのテンポで入念に練り上げている。
軽快なメヌエットやロマンティックな気分あふれるアダージェット、間奏曲中間部の牧歌的な旋律の歌わせ方や、ファランドールの熱気あふれる表現など、まさにプロヴァンスの雰囲気だ。
「カルメン」組曲も極上の出来で、デュトワの演出巧者な表現の光る演奏である。
前奏曲での華麗さと、運命のテーマの暗さとををくっきりと対比させたデュトワの語り口のうまさには息をのむ。
どの曲も、曲の性格を的確につかんだ表情豊かなもので、デュトワの実力がいかんなく発揮された名演である。
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