2010年04月28日
ロジェ&デュトワのサン=サーンス:ピアノ協奏曲全集
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サン=サーンスのピアノ協奏曲は以前はコンサートでかなり頻繁に取り上げられていた記憶があるが、このところ、お目にかかる回数がめっきり減ってしまった。
協奏曲にも流行廃りの波がはっきりあるらしい。
いまや、現役のディスクも新録音も少ないが、サン=サーンスのピアノ協奏曲は、フランス近代音楽のレパートリーのなかにきちんと残しておきたいもの。
ここで紹介するロジェの演奏は、約30年前の録音だが、サン=サーンスの協奏曲のいわば定番的な存在。
パスカル・ロジェは、1951年生まれのピアニストで、フランスものを弾かせたら、抜群のうまさをもっている。
ここでも、超絶的な技巧に支えられて、多彩な表情で弾きあげていて、素晴らしい。
ロジェは少しばかりワリを喰っている感じがあるピアニストだ。
野球選手にたとえるなら、ロジェはコンスタントに高打率を残し、守備も堅実だが、派手に大ホームランをかっ飛ばしたり、美技で大向こうをうならせるタイプではない。
実力に比し、その存在が地味になりがちである。
そうしたロジェの好ましい持ち味は、たとえばここに聴くサン=サーンスの音楽といった、ある種ヴァーサタイルな視野を必要とするような場合には最大限の効果を発揮する。
この協奏曲は無闇と巨匠風に弾いたり、通俗的になってはダメ。きちんとした音楽性を必要としている。
ロジェはその点をよくわきまえているといえよう。
サン=サーンスのピアノ協奏曲は、さっぱりと弾かれてしまうことが多いが、このロジェの演奏にはコクがあり、心の裏付けを伴ったセンスの良さが最高だ。
タッチも腰が強くて、手応え満点である。
デュトワの指揮も敏感を極め、第4番の名演は彼のセンスの良さと絶妙な表現によるサポートに助けられたものだ。
全曲を通じてのカンタービレの美しさ、情熱、ニュアンスの妙など、例をあげればきりがない。
軽やかなタッチと色彩感がサン=サーンスのピアノ書法を浮き立たせている。
第5番ヘ長調《エジプト風》に見られる異国情緒豊かな表現も魅力的である。
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