2010年06月14日
アルゲリッチのバッハ:ピアノ作品集
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アルゲリッチ初のバッハ・アルバムとして注目されたディスクである。
アルゲリッチのレコードはどれもすばらしいが、この唯一のバッハ・アルバムにも、彼女の魅力は、いかにも爽やかに発揮されている。
アルゲリッチは、ここでも持ち前の奔放な情熱や感興にとんだ表現を無理に押さえこむことなく、自然体でバッハに対している。
それだけにイギリス組曲やパルティータの舞曲のリズムなど、ちょっと独特のところもあるが、自分の感性と読みに忠実に、しかも、しなやかな余裕をもって弾かれた演奏は、決してバッハの音楽を歪めることはないし、思わず溜め息が出るほど清新な生命力としなやかな感興にとんだ歌にあふれている。
彼女の精巧なテクニック、輝きに満ちた音色、しなやかなリズム感、個性的な閃きなどが一体となって、生命力に富む演奏が繰り広げられている。
時として自由奔放な動きも見られるが、アルゲリッチは、天性の優れたバランス感覚を発揮して演奏の形を美しく整え、バッハの音楽を感興豊かにまとめている。
その表現は確信に満ちているが、演奏の流れが見事に統括され、美しい彫琢を見せる。
アルゲリッチのバッハで際立っているのは、リズムを歯切れよく刻みながら、それが決して機械的で乾いた演奏でなく、情趣をたたえたみずみずしい印象をあたえる点であろう。
バッハ解釈につきまといがちな重々しさがなく、たとえバッハの場合であっても、音楽が本質的に抒情的な芸術であることを教えてくれる。
この収録曲では実はリズムも重要であり、《パルティータ》と《イギリス組曲》は、舞曲から成る組曲である。
リズムに特色のあるアルゲリッチの演奏が魅力的なのも納得できる。
3曲ともすぐれた出来ばえだが、とくに《パルティータ》の味わいのある表現が素晴らしい。
アルゲリッチならではのすぐれてユニークな、みずみずしいバッハというべきだろう。
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