2010年07月21日
アバドのムソルグスキー:ホヴァンシチナ
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1989年のウィーンでの上演のライヴ録音。
アバドを好きな人なら、彼のムソルグスキーへの力の入れようが尋常なものではないことを知っているだろう。
時にはそのエネルギーをプッチーニとはいわないまでも、もっとロッシーニやヴェルディに注いでほしいとも思わないでもなかったが、ウィーン国立歌劇場の音楽監督時代にライヴで録音した《ホヴァンシチナ》やベルリン・フィルとの《ボリス・ゴドノフ》の名演を聴くと、アバドのムソルグスキーの音楽に対する情熱と慧眼には敬服せざるをえない。
この作品でもアバドは周到の準備の後、ショスタコーヴィチ版(第1幕〜第4幕)と初めてフィナーレにストラヴィンスキー版を用いてオリジナルに鋭く迫り、このオペラの独創的な魅力をはじめて明らかにしている。
ムソルグスキーの本来の意図を忠実に生かした版での演奏で、アバドが音楽に内蔵されているドラマの実体をしっかりとつかみ、それに整然とした姿を与えている。
国際色豊かな配役も優れており、ハウグランドとアトラントフも申し分なく、紅一点のリポヴシェクも立派だし、脇役ながらツェドニクのうまさも光る。
また独唱陣以上に重要な役割を果たす合唱の迫力も特筆ものだ。
アバドが果敢に採り上げ、こうしてライヴ録音まで残してくれたので、この聴きごたえのある優れたオペラを知り、繰り返し堪能することができた。
ウィーン国立歌劇場音楽監督時代のアバドの大きな業績。しかもいかにもアバドらしいそれだ。
清潔でソリッド、共感に満ちた演奏も最高だ。
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