2010年05月12日

ペライアのモーツァルト:ピアノ協奏曲全集


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ペライアがほぼ10年をかけてイギリス室内管弦楽団と完成した弾き振りの全集は、3台のための第7番は「2台ピアノ版」を使用しているが、初期の編曲を含む全集としては最もすぐれた演奏だろう。

後期の作品などは、もちろん個性的な名手たちの演奏にはやや及ばぬところがあるとはいえ、ペライアが指揮も兼ねた演奏も清潔なタッチと透明度の高い音色が美しく、自然な音楽の流れと豊かな表情も味わい深い。

曲によってはやや抒情性に傾斜しすぎる感じもないではないが、ペライアの的確な様式感と端正な表現は、どの曲においても性格や魅力を生き生きと伝えるのに成功しており、モーツァルトのピアノ協奏曲の多様性と発展過程を充分に知ることができる。

独奏と指揮とを兼ね、同じイギリス室内管弦楽団とレコーディングしたために、バレンボイムへの挑戦などともいわれたペライアによるモーツァルトのピアノ協奏曲の全曲は、実際には、決して挑戦的などではないペライアの清新なスタイルを明らかにしたものであり、爽やかで幸福感さえ漂わせた魅力あるものとなっている。

1975年から84年という10年を費やした偉業も、実際にはそれほど長いものとはいえず、若き日でなければ実現できない初々しい輝きが感じられる。

清々しい生命力あふれるモーツァルトで、演奏に漂う幸福感はさすがにペライアにして初めて可能なもの。

1つ1つの音符に目が届き、またフレージングにも優しい視線が感じられる緻密な演奏で、表情も引き締まっている。

ペライアの指が導き出すピアノの音は肉づきのよいものだ。だからといって肥満気味というのではないのだが、それはかなりグラマラス。決してシャープとか痩身というタイプの音ではない。

それでもってペライアは抒情的な部分から力強い部分までを、くっきりと描き出していく。

そうした彼の音楽性は、ここにきくモーツァルトの協奏曲全集に余すところなく示されているといえよう。

中身がみっちりと詰まった音を駆使しながら、モーツァルトの協奏曲の数々がときに押し出しよく、ときに磨き上げられた美しさで、曖昧な部分なく表現されていく。

妙な屈託のようなものがなく、総じて健康的な性格のモーツァルトがきける全集といっていいだろう。

ペライアは、やや線は細いものの、どの曲も、きわめてまろやかで、繊細なタッチで美しく弾き上げており、モーツァルトの音楽の内面に迫った表現で、聴く人を感動させる。

どの曲も美音を駆使し、千変万化にデリケートな表情をつけて弾いてゆくスタイルだが、女々しさがなく、透徹し切っているところが素晴らしい。

ピアニッシモなど人工美の極みだが、ペライアの場合はそれがプラスに作用してしまう。

オーケストラの典雅で匂うような演奏も聴きものだ。

収録曲の白眉は第19番と「戴冠式」で、モーツァルトの全CD中でも出色の出来映えである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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