2010年05月31日

リッチのパガニーニ:24のカプリース(旧盤)


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かつてパガニーニのスペシャリストとして鳴らしたリッチの演奏は、左手のテクニックに意外にラフなところもあるが、実にスリリングで切れ味のよい快演を聴かせている。

超絶技巧を要求されるこの曲の全曲盤の名演は他にもあるが、リッチのこの演奏には遠く及ばない。

難曲を技術的に克服するのみならず、技術そのものを楽しませるコツを心得た演奏といえるだろう。

逆にいえば、超絶技巧練習曲としてでなく《カプリース》を見事に"作品"として聴かせる演奏なのである。

パガニーニの《カプリース》を完全にこなすには、特殊な才能、音楽感覚以前に運動感覚を必要する。

名だたるヴァイオリニストといえども、皆が皆《カプリース》を鮮やかに弾きこなせるわけではない。

だが、リッチは違う。

《カプリース》全24曲を楽々と弾きこなし、その卓越した技量で聴き手を魅了する。

パガニーニをここまでこなし、それを"芸"として確立した現代のヴァイオリニストを、私は寡聞にして知らない。

とにかくリッチが弾くパガニーニには、技巧克服の楽しさのみが感じられ、技巧に振り回される苦しみは一切感じられない。

ここが他のヴァイオリニストと決定的に異なるところであろう。

リッチは、実はかなり粗削りなところもあるが、まさにアクロバット的といえる鮮やかな快演を聴かせている。

厳密に言えば名人芸ではなくその精神を楽しませてくれる演奏といったところであるが、技巧そのものをこれほど楽しませてくれることは、それ自体貴重な持ち味として注目される。

リッチ独特のメリハリの効いた快い表現は、生理的な快感さえも与えてくれる。

ここまでくると誰にも真似できない堂々たる"芸風"と呼ばねばなるまい。

超絶技巧は彼にとって大向こうを相手にミエを切るための小道具みたいなものだ。

パガニーニもきっとこういう芝居小屋的な雰囲気で弾いていたに違いない。

リッチは異能の奏者であった。

1959年の録音だが、いまだつややかな美しさを保っている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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