2010年06月01日
ミュンシュ&パリ管 発足演奏会ライヴ
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ミュンシュは、ごく限られた期間ではあったが、最晩年にパリ管弦楽団の初代音楽監督を務め、この名門オケと少数の録音を行なっている。
そしてこれらの録音は、そのどれもが歴史的名演というにふさわしい内容を示しているが、そのなかで最高の名演はどれかといわれれば、私はためらうことなくこの《幻想交響曲》ライヴを挙げたい。
特にこの演奏は、結成直後のパリ管の並々ならぬ意気込みとミュンシュの最後の情熱の燃焼が一つに溶け合った稀有な名演であり、そこで繰り広げられている何かに憑かれたような熱っぽい表現は、聴き手を放心状態にさせてしまうようなカリスマ的なアピールさえをも放っているのである。
この演奏のただならぬ雰囲気は、第1楽章の序奏部でヴァイオリンが呈示するとぎれとぎれの旋律が奏でられると同時に、聴き手に印象づけられる。
ドラマティックな展開部のまさに熱狂的といえる表現などは、筆舌に尽くし難い凄みをもって聴き手に迫る。
第4楽章やフィナーレの桁外れのエネルギーを内在させたデモーニッシュな表現も、この演奏ならではの聴きどころとして特筆される。
不安で熱にうなされるような感情を強く滲ませた第2楽章も出色であり、第3楽章では、名手たちが名を連ねていた当時のパリ管の管楽器セクションの名技が素晴らしい。
「海」は設計が綿密なうえに大変語り口のうまい表現で、「波の戯れ」や「風と海の対話」など、色彩感豊かな筆致で精妙に描き上げていて見事だ。
ミュンシュ最後の生命の炎の輝きといえるこの演奏は、同時にパリ管の黄金時代を偲ばせてくれる名演でもあるのだ。
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