2010年07月06日

ピリスのショパン:夜想曲全集


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ショパンが初期から後期に至るまで書き続けた「夜想曲」は全21曲が残されているが、ショパンの作品の中でも夜想曲を演奏することは特に至難の業である。

曲の表面に流されて、ともすれば、過剰にセンチメンタルになったり、曲の内部まで掘り下げずに終わってしまうからだ。

その点、このピリスの演奏はきわめて完成度が高い。

ショパンはもともとピリスの得意とするレパートリーだが、このアルバムでは特に円熟味を増した彼女の良さが生きている。

ピリスのレパートリーの中にはロマン派の作品も多く含まれ、中でもショパンは重要な位置を占めているのだが、そのわりに録音が少ないために一般的にはそれほど知られていないように思われる。

彼女の最も新しいこの《夜想曲全集》は、ピリスの演奏するショパンがいかに美しいかを改めて実感させてくれる。

ピリスは自然体でありながら、情感豊かに、さまざまな形式で書かれた1曲1曲の特質を適確にとらえ、多彩な内容を格調高く描き出している。

モーツァルトと同様に、美しい音色を基底として、その上に各曲の性格を巧みに弾き分けている知的な読みの深さが感じられる。

ピリスが当代一流の"モーツァルト弾き"であるのみか、ある意味で比類ないほどの"ショパン弾き"でもある事実を、如実に示したのがこの《夜想曲全集》だった。

ノクターンは決して、ショパンがこまやかな詩情のみを注ぎ込んだ音楽ではない。

これら21曲のうちに、ショパンはその情熱、意志の力、劇的な昂揚感のすべてをも托したのである。

このことを深く感じ取り、すべてをふさわしく表現できるピアニストを、あるいはショパンは待ち望んでいたのかもしれない。

そして、ここに、このポルトガル女性が現われた、とまで、聴きながら思ったものである。

すべてのノクターンが、1曲の例外もなく、それぞれの「いのち」を息づいている!

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classicalmusic at 18:36コメント(2)トラックバック(0)ショパン | ピリス 

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コメント一覧

1. Posted by リリィ   2010年07月08日 11:30
ピリスさん、恥ずかしながら初めて知りました。
ご推薦盤という事でとても興味が湧いています。
仲間のピアニストさんにも教えてあげようと思います。勉強になります(^^)
2. Posted by 和田   2010年07月08日 11:49
ピリスは現代を代表するピアニストの一人です。
最も素晴らしいのはモーツァルトで、その次がショパン。
機会があれば、聴いてみて下さい。

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