2022年08月11日
👍聴けば聴くほど味の出てくる名演👉グラーフ&レパードのモーツァルト:フルート協奏曲集
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グラーフのスケールの大きな、ふくよかさを加えたフルートの響きと真摯な表現が大きな魅力をもって聴き手に迫ってくる名盤だ。
グラーフは母国スイスでジョネに、パリ音楽院でモイーズとコルテに師事してフランスの伝統を受け継ぐフルート奏者だが、同時に明確な個性を持っている。
モーツァルトの「フルート協奏曲」というと、とかく外面的な華やかさをねらった演奏が多いが、グラーフはそれとは反対に、おだやかで室内楽的なまとまりをもった演奏をおこなっている。
古典派の音楽というよりは、むしろ、焦点をバロック時代においているような演奏で、全体に地味ではあるが、聴けば聴くほど味の出てくる名演だ。
第1番第1楽章は旧盤の遅いテンポから普通のテンポに変わっており、レパードの指揮もあまり特徴がないが、他の楽章は旧盤と同じスタイルによる名演だ。
グラーフの表現はまことに緻密で、モーツァルト風というよりバロック風であり、じっくりとした落ち着いた感じが好ましい。
第2番も、とかく外面的な華やかさに傾きがちだが、彼のフルートは地味ながら曲の内容を生かそうと試みている。
ただし、レパードの指揮には、いまひとつうるおいがほしかった。
グラーフの演奏は決してとっつきやすいものではない。
ヴィルトゥオーゾを目指す傾向とは無縁の演奏様式である。
一点一画もおろそかにしない、知性的なスタイルの演奏で、じっと耳を傾けていると、その端然としたたたずまいに心洗われ、時としてバッハを聴いているような気分にさせられる。
いわば知的な解釈に基づいているが、どこかフラウト・トラヴェルソによる演奏との接点が感じられないでもない。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2022年08月12日 09:57

2. Posted by 和田 2022年08月12日 10:14
オーボエは並み居る猛者の中、ホリガーが最高のソリストで間違いないでしょう。第2次世界大戦後にフルートの世界は広がり、多くの優れた演奏家が生まれましたが、未だにモイーズを超える人を私は知りません。フランス人のモーツァルトに対する姿勢を示している点でも貴重です。フランス人の解釈、演奏様式は、ドイツ系のそれとは明らかに違い、フルートの音色も明るく冴えていて、響きは澄んでいます。そしてテンポは速めでリズムも軽やかです。このようなテンペラメントは、同じ作品を演奏しても独特のモーツァルト像を生み出しています。モイーズの演奏もこの系統に属していますが、古典精神に通じる端正な様式は、いわゆる"粋な"様式とは一線を画しています。そこには品位があり、それが洗練された感覚と結びついて演奏に高雅な雰囲気をもたらしています。ご意見を頂戴いただければ嬉しいです。