2010年06月19日
ベルグルンドのシベリウス:管弦楽曲集
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全体に北欧の情緒を色濃く表出した演奏で、語り口が実にうまい。
音色もシベリウスにふさわしく暗うつである。
こうしたあたり、さすがに現代のシベリウス演奏の第一人者の名にそむかないといえる。
ベルグルンドの指揮するシベリウスは、無骨で逞しくフレーズがごつごつしていて、いかにも北国の音楽という雰囲気が漂っている。
各曲を完全に手中に収めた巧みな演奏で、細部まで明快であるとともに、作品への率直な対し方も好ましい。
特に《フィンランディア》の劇的な盛り上がりは、彼の真情が吐露された演奏として感動的だ。
これを聴いていると、来日の公演で、左手に指揮棒を握ってオケを叱咤する、ベルグルンドの姿を思い出す。
大体北欧のオーケストラや指揮者は、田舎風の演奏をするケースは少なく、どちらかというと都会的で、洗練された表現を好む場合が多いが、ベルグルンドは珍しく極寒の地を思わせる、独特のローカル・カラーを身につけた音楽家だった。
手作りのきめの粗い、そして触れると手が切れそうなシベリウスも捨て難い。
中でも特に成功しているのが《悲しきワルツ》と《トゥオネラの白鳥》で、前者はその巧みな演出力の音作りのうまさに心惹かれ、後者もこの曲のもつ神秘的な雰囲気を万全に表出している。
ベルグルンドは、速めのテンポで淡々と作品を語り進めているが、オーケストラの自発性を尊重した彼の棒は、各パートから、とても感興豊かな表現を引き出し、この演奏に瑞々しい生命を注入する結果をもたらしている。
演奏者の共感と演奏様式の本来性が一致した演奏であり、ひとつの規範とされるべき名演であろう。
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