2010年06月24日
ラローチャのシューマン:ピアノ作品集
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"ピアノの女王"の貴重なシューマン作品録音。ヴェテランらしい華やいだ雰囲気と、巨匠的なスケールの大きさで圧倒する。
ラローチャの安定したテクニックによって整然と彫琢されたシューマンである。
シューマンはおそらく、ラローチャが主要レパートリーの一画として育んでいたロマン派ものの中でも、最もよく気質に合ったものではなかったろうか。
協奏曲、五重奏曲のほか、独奏曲の幾つかにも名演を刻んでいる。
ラローチャのシューマン演奏の特色は、決して奔放さ、激越さには走らない"たしなみ"の中で、充分に表情的であり、しばしば機微に触れたデリカシーを伝えるところにある。
《謝肉祭》はそのような美質がよく発揮されたもので、たとえば「告白」のこまやかさなど、「この人ならでは」の思いを抱かせる。
《謝肉祭》では21曲の小曲が続くが、それらは副題の"4つの音符上の小さな情景たち"が示すように、ファンタジーに満ちた寸劇の連鎖を形成している。
ラテン的な明るさと快い切れ味の中で展開されてゆく21の小品を、ラローチャは思い入れをたっぷり込めながら、シューマンの音楽のサイズぴったりに演じていく。
ラローチャの音楽のすぐれた面と、シューマンの作品がもっている内面的な深みと表面的な華やかさをバランスよく表現する資質が見事に発揮されている演奏だ。
取り立てて大胆でも鋭くもない演奏かもしれないが、格調ある暖かさの内の奥行きに富む表現は人を飽かせない。
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