2010年07月09日

エマーソンSQのショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲全集


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第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが入れ替わっても差がほとんどわからない稀有なクヮルテット、エマーソンSQがその技量と知性を惜しむことなく注ぎ込んだ全集である。

ベートーヴェンやメンデルスゾーンでは持て余し気味だった彼らの演奏技巧は、ここでは存分に羽ばたいている。

ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲はベートーヴェンのそれとともに弦楽四重奏団にとっては踏破、征服すべき目標としてそびえ立っている。

1976年に創設されたアメリカのエマーソンSQは作品や演奏の機会に応じて第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンとが入れ替わるという柔軟なスタイルを持つクヮルテットとして知られるが、それ以上に真摯かつ誠実な作品へのアプローチが毎回聴き手を感動させてきた実績を誇っている。

このショスタコーヴィチ録音は1994年から99年にかけてアスペン音楽祭で行なわれたツィクルスをライヴ収録したものだが、作品を気迫と集中力をもって再現しながらも、もう一つ別の視点から作品を俯瞰して見据えていくようなアングルの大きさが特筆され、ショスタコーヴィチ作品の豊かさを聴き手がじっくりと味わっていくことを可能にしている。

柔らかくひそやかな弱音(第1番第1楽章、第10番第1楽章、第14番第3楽章コーダ)から、バリバリと音を割った暴力的な強音(第1番終楽章コーダ、第3番第3楽章、第8番第3楽章)まで、表現の幅が実に広い。

第7番第3楽章や第12番第2楽章冒頭での激情の猛烈な迸りなど、作曲者の想像した音世界をも超えてしまったのではないだろうか。

どの曲の演奏も素晴らしく、感銘は交響曲にも匹敵する。

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classicalmusic at 18:49コメント(2)ショスタコーヴィチ  

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2020年03月06日 09:33
4 今回はお尋ねです。ショスタコーヴィッチのクヮルテットはベートーヴェン以降では最高の作品群で, 特に私は8番と15番に傾倒しています。エマーソンSQの演奏はホットで重厚だと言われていますが, ボロディンSQやベートーヴェンSQを差し置いても聞くべき名演でしょうか。彼らの涙も出ない墓場の音楽を聴いてしまうと, 録音を含めてこれ以上の演奏があるのだろうかと考えてしまいます。因みに私はエマーソンSQの演奏は未聴です。
2. Posted by 和田   2020年03月06日 13:26
難しいところですね。
もし余裕がおありなのでしたら、ボロディンSQ、ベートーヴェンSQに次ぐ3番目の全集としてオススメしたいのはフィッツウィリアムSQです。
ここで展開される緊張感と共感に満ちた演奏は、圧倒的な感銘を与えずにはおきません。このクヮルテットの自在な表現力と緻密なアンサンブル、それに切れ込みは鋭いが決して冷たくはならない、深い意味のこもった響きの豊かさには魅了されます。彼らはショスタコーヴィチの、抑圧された中での痛切な表情や、しかしそれでも失うことのなかった精神の強さを表現し尽くしており、見事という他ありません。
タネーエフSQが入手しずらい現状で私としてはエマーソンSQは4番目の選択肢でした。
室内楽ではピアノ五重奏曲も名曲で、リヒテルとボロディンSQ、作曲者自身とベートーヴェンSQの名演があり、聴き逃せないところです。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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