2010年07月10日
ベルガンサ&アバドのビゼー:カルメン
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あまりにもポピュラーになりすぎたビゼーの音楽から、一切のけばけばしさを洗い落とし、まるで生まれたばかりのような瑞々しい生命と抒情と透明な美感を引き出したベルガンサとアバドの名演。
ベルガンサのカルメンが素敵である。
ちょっと上品な、おっとりした感じのカルメンで、物語に描かれた激情的なカルメンとは趣を異にするが、全曲を通じて情感豊かに、ドラマティックにうたいあげているあたり、やはりスペイン出身の歌手ならではの味である。
この録音で初めてカルメンに挑戦したベルガンサは「これぞビゼー自身が選んだと思われるカルメン!」と絶賛されたという。
カルメンを「自分に忠実なひとりの女性」として表現したというベルガンサの歌唱は、いわゆる情熱的なジプシー女としては異質といえば異質だが、瑞々しい美声と爽やかな情感をたたえた表現には独特の魅力がある。
ベルガンサのカルメンは、悪女ぶりが物足りないという向きもあろうが、ジプシーとして純粋に恋に殉じた女としては、けだし適役というべきであろう。
ドン・ホセのドミンゴ、エスカミーリョのミルンズ、ミカエラのコトルバスもそれぞれの役柄を見事に表現しているが、この演奏で特徴的なのはベルガンサとアバドの指揮で、余分なものをそぎ落としてビゼーの音楽の輝きと情熱を生き生きと表現した演奏は、今も新鮮さを失っていない。
メリハリをきかせたアバドの指揮もさすがにうまいし、ロンドン交響楽団もいつになくオペラティックな気分をみなぎらせていることも特筆に値する。
このオペラの最もスタンダードな名演として推薦できよう。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年03月07日 09:15

2. Posted by 和田 2020年03月07日 13:02
同感です。挙げられた演奏はいずれも歌手が揃っています。普段はオペラと言ってもあざとい演出が嫌いな私としては音だけで鑑賞することが多いのですが、カルロス・クライバー指揮のウィーン国立歌劇場でのゼッフィレッリ監督のDVDは素晴らしいと思いました。