2010年07月23日
クレンペラーのベートーヴェン:交響曲全集&ピアノ協奏曲全集(バレンボイム)
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クレンペラー唯一のベートーヴェン/交響曲全集で、72歳から75歳にかけての録音。
ここでのクレンペラーは晩年の演奏様式を確立し、独自の個性をもった表現を展開している。
それはイン・テンポを基調とした悠揚と歩む巨大な芸術で、端然とした造形が重厚、壮大、克明な音楽をつくっている。
各曲の出来映えには多少ムラがあるが、第3,7番は特別な名演として高く評価できる。
とはいえ、巨匠の記念碑的業績として、全9曲とも傾聴すべき音楽である。
「英雄」は第1楽章から遅めのテンポで始まり、きわめて晴朗で透明度が高い。
音楽が自然に息づき、しかも広々としている。
フィナーレはさらにスケールが雄大になる。逆にスケルツォは速めのテンポをとっている。
一番印象的なのはやはり葬送行進曲で、重々しい引きずるようなリズムと暗い幻想には抵抗を感じつつも心を奪われてしまう。
第7番はけっしてあせらないテンポで悠揚と歩む音楽であり、極めてコクのある充実した表情の演奏。
どの楽章も力強いアクセントと緊張感に満たされ、素朴な表情と重厚な響きが独自の個性を表している。
まさにクレンペラーならではの偉大な風格をもった音楽だ。
ピアノ協奏曲は、若き日のバレンボイムがEMIにデビュー直後に録音した全集。
この全集の主役はクレンペラーで、第1番をとってもベートーヴェン中期の一大交響曲にしており、第2番の壮麗な重厚さの中に宿る深沈たる味わいも印象的だ。
もちろん彼の個性は第3〜5番にぴったりで、第4番は絶品といえよう。
ここでは静かで柔らかく、温かい心の中に聴き手を包み込み、ベートーヴェンの音楽しか感じさせない。
「皇帝」も極めて芸格が高い。
バレンボイムも大きな器の中で大家風なピアノを聴かせている。
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