2010年07月25日
シノーポリのマーラー:交響曲全集
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シノーポリはフィルハーモニア管の首席指揮者に就任して間もなくマーラー・チクルスに取り組み、10年後にようやくこれを完成させた。
早くから、きわめて個性的なマーラーを聴かせてきた指揮者の1980年代の充実ぶりを示す録音。
オーケストラとの関係も、このころがベストであったのかもしれない。
バーンスタインのようなきわめて主観的にのめり込むタイプではなく、首尾一貫して客観的かつ明晰な解釈を聴かせる演奏である。
スコアが透けて見えるがごときクリアなリアリゼーションに加え、細部まで確信に満ちた表現解釈(押しの強さ)が施されている印象が強い。
マーラーの持つデリケートさとデモーニッシュさを劇的に表出させた第5番や第6番のすこぶるつきの名演と並び、声楽付きの作品はいずれも際立った出来を示している。
シノーポリはマーラーの作品がもつ悲劇性をさらに冷徹な視線を送った指揮を見せており、作品にこめられたメッセージを生々しくクローズアップしている。
マーラー音楽の深層をシビアに解き明かしていくようなキワドさを覚える演奏だ。
なによりの聴きどころは、マーラーのスコアの奥に、シノーポリのキャラクターが見え隠れしている点だ。
シノーポリのマーラーの独特の臭み、そこまでやるかという悪食趣味の演奏が嫌いなひとも多いと思うけれど、そこがあえて魅力で、いろいろと聴いたあと振り返ってみると、ところどころにキラリと光るものがあり、それだけでついつい聴いてしまうような演奏なのだ。
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