2010年08月28日
アシュケナージ&プレヴィンのラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集
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ラフマニノフの全集の1970年代の名盤。
アシュケナージはラフマニノフを得意としているピアニストで、このプレヴィンとの全集は1970年から71年にかけて完成させたもの。
まだ彼がソヴィエト国籍にあった若い時代の、華麗なまでに鮮やかな演奏だ。
アシュケナージは1980年代半ばに、ハイティンク&コンセルトヘボウ管と2度目の全集を完成して、より精妙に円熟した演奏を聴かせてくれたが、若々しい力を存分に発揮するとともに、みずみずしく豊かな情感をたたえたこの旧盤の演奏も、それに劣らず魅力的である。
ダイナミックな表出力とロシア的な情趣の深さを見事に合わせた演奏には、アシュケナージのラフマニノフへの共感がストレートに示されているといってよいだろう。
しかも、その演奏はお国ぶりに流れたり、感傷に溺れたりすることなく、あくまで真摯に作品に対して、各曲を存分かつ巨細に描ききっている。
そうしたアシュケナージを緩急巧みにバックアップしたプレヴィンの指揮も見事である。
ハイライトは何といっても第2番と第3番。
第2番はアシュケナージがとことん弾き込んだ曲だけあって随所にひらめきが感じられるし、表情も豊か。
第3番はこの曲のもつロマン的情感を見事に表出したもので、アシュケナージらしい繊細透明な音色と抒情味豊かな表現が光っている。
アシュケナージと同じく、ラフマニノフを自家薬籠中のものとしていたプレヴィンの棒の巧さにも拍手を贈りたい。
15年後に録音されたハイティンクとの共演盤の円熟には及ばないが、これは若きアシュケナージの、ラフマニノフへの深い共感がうかがわれる全集だ。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年04月25日 09:59

2. Posted by 和田 2020年04月25日 12:40
アシュケナージのラフマニノフについて付け加えるならば、強弱や音色の変化に関して並外れた才能を持っていたことが、この旧録音でわかります。当時の彼の多彩で幅の広い表現には、ピアノ演奏の可能性のすべてが詰まっていました。アシュケナージ、プレヴィン共にラフマニノフに特別の愛着を抱いていて、両者ともに協奏曲全集のみならず、交響曲全集も録音していることからもそのことが窺えます。アシュケナージは先頃引退してしまい残念です。
私は辻井伸行についてはまだ余り熱心に聴いていないのが実情なので、コメントは差し控えたいと思います。
私は辻井伸行についてはまだ余り熱心に聴いていないのが実情なので、コメントは差し控えたいと思います。