2010年08月09日
カラス&セラフィンのドニゼッティ:ランメルモールのルチア(旧盤)
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旧盤はカラスの声の絶頂期を記録した素晴らしい名盤である。
このオペラにおけるルチア像をつくり上げるには、マリア・カラスが決定的といってもいいような強い影響を与えてしまった。
ルチアはコロラトゥーラ・ソプラノの名技を発揮する役として知られたが、カラスは恋に悩み悶える薄幸のヒロインに変貌させた。
彼女の存在を抜きにしては、このオペラ、およびルチアについてふさわしく語ることができない。
ここにおける彼女の声の強さ、凄さは破格のものだし、その性格描写たるや尋常一様のものではなく、聴くたびに圧倒されてしまう。
カラスは後に同じセラフィンの指揮でステレオ再録音し、それも名盤として名高いが、この録音のカラスは声に余裕があるだけでなく、オペラ界に君臨し始めた頃の瑞々しい情感がみなぎり、過度な表情をつけずに物思わしげでデリケートな若い姫君の性格を見事に描き出す。
エドガルドのディ・ステファノも若々しい声の魅力を発揮して、甘く情熱的な中にも感情表現に心をこめているし、エンリーコの若き日のゴッビも、頑迷な性格を創り上げ、すでに非凡な才能を示している。
これらの名歌手を見事にまとめているセラフィンの指揮も特筆すべきであり、フィレンツェ5月祭管弦楽団などを率いて、無駄のない、底力のある音楽性豊かでダイナミックにオペラティックな雰囲気を紡いでいるのも魅力的である。
カラスの録音における最強のコンビ絶頂期の記録で、この名盤を聴かずして「ルチア」の演奏を語ることはできない。
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