2010年08月15日
ムーティのモーツァルト:「ダ・ポンテ」オペラ3部作
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
イタリア式モーツァルトの名演だ。
「フィガロの結婚」は疾駆するが如きテンポのムーティの音楽運びの中に、モーツァルトの魂がみずみずしく息づく。
ムーティの大きな特徴は、リズムの鮮明な躍動感、明るくのびやかに歌う旋律、デュナーミクの明暗・強弱の隈取りの明確さなどだが、この結果、彼の「フィガロ」にはウィーン風の優美さより、活気にあふれたドラマティックな緊張がある。
ウィーン・フィルの柔軟・繊細にして自発性に富む演奏も素晴らしい。
歌手陣では、新人のヒュンニネンの伯爵が若々しく、いかにも好色な貴族らしい雰囲気にあふれているし、バトルのスザンナもキュートそのもので、アレンのフィガロも生き生きとした好演。
プライスの伯爵夫人も堂々たる貫録とよく整った歌を聴かせる。
「ドン・ジョヴァンニ」は、通常カットされるセッコの部分もすべて網羅した全曲演奏である。
騎士長をめぐる、このオペラの中でも最もドラマティックかつパセティックな場面でムーティが聴かせる、異常なほどの緊張をはらんだ劇的表現と持続力は大変素晴らしい。
歌手陣はいずれもオペラ界で屈指の逸材たちだけに、その充実ぶりは特筆に値する。
とりわけステューダーとヴェイニスの2人が、声の美しさもテクニックも性格表現も申し分のない名唱だ。
「コシ・ファン・トゥッテ」は1982年のザルツブルグ音楽祭のライヴ録音で、ムーティは、これがはじめてのモーツァルトのオペラの録音だった。
彼の指揮はきわめて流麗で、躍動感にあふれ、モーツァルトの音楽の生命力といったものを、生き生きと表現していて、まことに素晴らしい。
歌手陣も、フィオルディリージのマーシャル、ドラベルラのバルツァ、フェルランドのアライサ、ドン・アルフォンゾのファン・ダムら、総じて粒がそろっているが、特にバルツァの演唱が光っている。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。