2011年02月26日
ロストロポーヴィチ&カラヤンのR.シュトラウス:ドン・キホーテ/ロストロポーヴィチ&バーンスタインのシューマン:チェロ協奏曲
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カラヤンほどシュトラウスの複雑なスコアから多彩な響きと表情をたくみにひきだすことのできた指揮者はいないだろう。
シュトラウスの作品はカラヤンが磨きあげたベルリン・フィルの高度な機能性を発揮するのにぴったりの音楽であり、またさまざまな技を凝らした表現をカラヤンはたくみな語り口で聴かせる名人芸も備えていたので、思わず「うますぎる」と感嘆してしまう。
この《ドン・キホーテ》も例外ではなく、変奏曲形式による協奏曲的な性格をもつ交響詩の魅力をほとんど完璧に表現しているし、とくにロストロポーヴィチとの共演では、チェロのソロがすこぶる雄弁であり、この技巧を凝らした作品の面白さを満喫させてくれる。
シューマンのチェロ協奏曲は、ロストロポーヴィチとバーンスタインの貴重な共演録音。
これはどなたであっても肯定してもらえると思うけれど、シューマンのチェロ協奏曲は取扱いの厄介な作品だ。
華やかさはないし、大向こうを唸らせる要素もなく、下手をするとただただ暗い音楽となってしまいかねない。
ここにおける独奏者ロストロポーヴィチと指揮者バーンスタインとは、各種の厄介な要素にしっかりと正対し、なるほどと納得しうる対処のしかたを示してくれている。
彼らの再現するシューマンは、暗い要素を必要以上に明るくするのではなく、暗さに間接照明を当てることで、暗さを重層的に把握してみせたり、暗さにも様々なグラデーションがあることも示してくれており、鮮やか。
説得力が強い。
両者の音楽性のすごさがよくわかる。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年10月23日 09:51

2. Posted by 和田 2020年10月23日 13:30
ロストロポーヴィチを独奏チェリストに迎えたカラヤン盤は華やかでグラマラスな出来栄えですね。身振り手振りが大きく、色彩感豊かに、ドン・キホーテの物語が描きあげられた演奏と言えるでしょう。独奏チェロもたいそう雄弁で、繰り返して聴くには、やや辟易とする要素があるかもしれませんが、いかにもカラヤンらしい演奏として、これはこれでよしとすべきなのでしょう。なお、カラヤンにはフルニエを独奏チェリストに迎えた旧盤もあり、こちらはより均整がとれた演奏内容です。
シューマンは、狂気の闇に閉ざされてしまう直前のデュッセルドルフ時代にも数多くの曲を作曲しました。それも例えば、ヴァイオリン・ソナタの第1番は4日間、第2番は6日間、このチェロ協奏曲は10日間という短期間に完成しました。つまり彼はほどばしる創造力をただひたすら楽譜に書き写していたのです。そのようなシューマンと同じような気質を持った人物はフルトヴェングラーですが、バーンスタインも、感情がほとばしるような演奏をしています。内面を抉り出すようなフルトヴェングラーとは本質的に異なり、身振りの大きな演奏です。ともかくもステレオ録音以降の演奏の中で最も卓れたものであり、特にロストロポーヴィチのチェロが何と言っても素晴らしいです。
シューマンは、狂気の闇に閉ざされてしまう直前のデュッセルドルフ時代にも数多くの曲を作曲しました。それも例えば、ヴァイオリン・ソナタの第1番は4日間、第2番は6日間、このチェロ協奏曲は10日間という短期間に完成しました。つまり彼はほどばしる創造力をただひたすら楽譜に書き写していたのです。そのようなシューマンと同じような気質を持った人物はフルトヴェングラーですが、バーンスタインも、感情がほとばしるような演奏をしています。内面を抉り出すようなフルトヴェングラーとは本質的に異なり、身振りの大きな演奏です。ともかくもステレオ録音以降の演奏の中で最も卓れたものであり、特にロストロポーヴィチのチェロが何と言っても素晴らしいです。