2010年08月20日

ムーティ&フィラデルフィア管のベートーヴェン:交響曲全集


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イタリア人の指揮者とアメリカのオーケストラ、というだけの単純な理由で、この全集に触れる機会を持たなかった方々こそお気の毒である。

この全集を知らない、持たない、聴かない、というのは音楽人生にとって大きな損失だ。

これほど淡く、爽やかで、それでいて生命力に溢れて美しいベートーヴェン演奏は稀だからである。

成功の要因のひとつは、オーマンディの薫陶を受けたフィラデルフィア管の優れた技量と音楽性。

全曲にわたり「美しくない音」がただの1音もないのだから驚きだ。

個々のパートがそれぞれ完璧な上に、それらが溶け合ったときの全体の色彩美といったら例がない。

ムーティが「オペラだけの人でない」ことを、見事に実証した全集であり、大いに推奨したい。

ムーティの指揮は素晴らしい。

イタリア式に横に歌うだけでなく、作品のキャラクターや構造を的確に捉えて立体的に構築し、持ち前の情熱で演奏に生命を吹き込んでいる。

テンポは中庸か遅めの場合が多く、それが歌謡性を強調している。

もちろん流動性も強いが、全体的には実直に作品の音楽性を追求しており、明朗でのびやかに歌うのが独自の魅力だ。

苦悩の人ベートーヴェンの音楽が、こんなにも美しくて良いのだろうか?という罪悪感さえ持たれる方もいらっしゃるかも知れないが、心配はご無用。美のために破られてならぬルールはない。

これこそベートーヴェンの哲学であり、我々は、この美を全身全霊をもって享受して良いのである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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