2010年10月30日

アバド&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲全集


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アバドはベルリン・フィルの常任指揮者時代、まるで「アク抜き」でもするかのように、ベルリン・フィルからドイツ的な重さ、カラヤン的な流麗さを洗い流し、綿毛のように軽やかな室内楽的オーケストラに仕立て上げた。

カラヤンによるベルリン・フィルの国際化も、フルトヴェングラー時代までの所謂「ドイツ的サウンド」を愛好する人々にとっては物足りないものとなってしまったが、アバドは、そこに名残のようにあったドイツ的な「香り」さえ、根絶させてしまったかに見える。

実際、これをベルリン・フィルの音として、あるいはベートーヴェンの音楽として、受け入れられない音楽愛好家は多かったに違いなく、この全集が爆発的に売れるとか、高い評価を受けることも少なかったように思う。

しかし、ここに鳴る軽やかなサウンドは、アバドの内的真実と一致しているのかも知れない。

アバドは、1980年代にウィーン・フィルともベートーヴェン全集を残しているが、ウィーン盤の何パーセントがアバドの音楽であったろう。

自発的というよりは、メンバーの思うがままに演奏させるのを纏めただけ、というような主張の弱さがなかっただろうか。

そこへいくと、ベルリン・フィルとの全集は全篇にアバドの想いが徹底されている。

「これはベルリン・フィルの音ではない」「こんなにベートーヴェンが軽やかで良いのか」などという批判はお構いなしで、自分の音楽を貫いた。

演奏への評価は別の話として、まずは、その姿勢を潔しとしたい。

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classicalmusic at 18:19コメント(4)ベートーヴェン | アバド 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2020年06月28日 10:34
4 またもアバド登場ですね。ベルリンフィルとウィーンフィルどちらのベートーヴェンが上かは難しい問題で, 人によって評価は大きく分かれる事でしょう。確かに古楽器演奏の影響を受けてベルリンフィルとのアバドはウィーン時代とは大きく変化しました。 これがベルリンフィルの音かとカラヤン時代を知るファンを大いに落胆させたことでしょう。私は3番, 9番はベルリン盤に, 2番と5番はウィーン盤に軍配を上げます。不自然な繰り返しがある昨今の原典版は大嫌いなので, 第7番でそれを全て成し遂げているベルリン盤はウィーン盤以上に聞く気になりません。でもベルリンフィル就任直後にリリースされたブラームス交響曲全集は圧倒的で, これはカラヤンを越えていると思います。
2. Posted by 素人愛好家   2020年06月28日 10:51
色々物議を呼んだアルバムだったのかと。
個人的にはVPOとのティクルスを聴いてしまいますね。
しかし和田さんのコメントでこの全集に対して印象が変わりました、ありがとうございました。
3. Posted by 和田   2020年06月28日 14:28
ブラームスの高貴な音楽精神に身を捧げることにおいて、カラヤン以後アバドの右に出る指揮者はいないでしょう。第1番は第1楽章主部の起承転結の妥当性、構成の見通しの良さ、ほのかな明るさを帯びた響きの広がりが、演奏の大きな美質となっています。第2楽章の各楽句の高貴な表情付けは特徴的ですし、第3楽章の優雅で軽やかな動きも実に上品に仕上がっています。フィナーレはまさに王道をゆく演奏です。第2番も素晴らしい演奏で、ブラームスの本質の全てが見事に捉えられ、最大限のデリカシーと骨太さ、暖かさと決然たる姿勢、独特の室内楽的スコアの全てのパートに神経の行き届いた完璧主義の演奏と録音、そしてバーンスタインのロマン主義的名演の対極を行くアバド美学の透徹など、賛辞の言葉に事欠きません。第3番は冒頭から溌剌とした勢いがあり、躍動感と歌謡性を巧みに融合させた表現です。各部の表情はくっきりとして彫りが深く、ブラームスの重厚な和音や対位法的な書法が明晰に示されています。終楽章ではアバド特有の運動性が、緊張力の持続とともに練達の表現を作ります。第4番は最高の名演で、第1楽章からデリケートで自然に変化するテンポと表情が、聴き手を無条件に音楽に引き込んでしまいます。第2楽章も繊細・甘美な歌謡性が豊かな抒情感と結びつき、しかも堂々とした格調の高さと指揮者の風格を感じさせます。第3楽章の力強い推進力、終楽章の気負いのない自然さも特筆ものです。
4. Posted by 和田   2020年06月28日 14:33
私も好きなのは正統的で重厚なウィーン・フィルとの全集の方です。ベルリン・フィルとの全集は古楽器奏法を意識した軽やかさとまるで朝シャンして香水までつけたようなベートーヴェンが現出します。ただ世界最高の2大オーケストラと異なったスタイルでベートーヴェンの交響曲全集を録音してしまうところなどさすがアバドですね。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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