2010年08月22日
カザルスのバッハ:管弦楽組曲(全4曲)/ブランデンブルク協奏曲(全6曲)
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バッハ演奏の主流がオリジナル楽器に移りつつある昨今、このカザルスの演奏を若い世代の人達はどう聴くだろう。
バッハ演奏のトレンドであるオリジナル楽器によるものとは異なるが、ここでのカザルスのアプローチもまた、ポリフォニックなバッハ解釈という点で傑出している。
指揮者カザルスの音楽づくりの最大の特色は、そのポリフォニカルな声部処理にある。
あらゆる声部に、生き生きとした表情を持たせ、それらの声部を有機的で立体的に組み立てるカザルスの音楽語法は"ポリフォニー音楽の頂点"にある作曲家J・S・バッハの音楽において最高の輝きを示す。
バッハのあらゆるフレーズ、あらゆる音とリズムに、カザルスは「人間の生命の息吹」とも呼べる生き生きとした躍動感とニュアンスを与えている。
その表情すべてが、人間の持つ生命の根源的エネルギーと直結している点、巨大な有機生命体とも呼ぶべき音楽の全体像を生み出している点において、このカザルスの演奏に比肩できるものは、ほとんどないのではなかろうか。
今日のオリジナル楽器派とカザルスを分けるのは、その使用楽器という物理的な差のみならず、そのポリフォニカルな声部処理の内に漲らせた生命力の強さと、内的共感の大きさである。
生命の讃歌とも呼ぶべきバッハ演奏がここにある。
"音楽する"ことの根源的な解答が、カザルスの音楽にはある!
いずれの演奏も、カザルスの主観の強く現れた剛直な表現で、訴えかけてくる力が極めて強い。
押し出しの立派な管弦楽組曲第2番、第3番の序曲や若々しく生気にあふれたブランデンブルク協奏曲第5番など、まさにその好例だ。
このCDは、カザルスが尊敬してやまなかったバッハ観を知るという意味で貴重なアルバムといえよう。
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