2011年02月06日
パユ&アバドのモーツァルト:フルートのための協奏曲集
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1970年生まれのパユがベルリン・フィルの首席ソロ・フルート奏者に抜擢されたのは1993年だったが、その3年後に行なわれたこの録音によりパユはフルート界待望のスター演奏家と位置づけられることになった。
ニコレ、ツェラー、ゴールウェイなど、ベルリン・フィルの歴代首席フルーティストたちが名演を残しているが、このパユのモーツァルトのフルート協奏曲集は、それだけでなく、古今の名フルート奏者たちの名演の中でも、最もみずみずしく光彩美しい演奏のひとつだろう。
これがパユのデビュー盤であったが、その演奏は少しも肩肘張ったところがなく、落ち着いた運びで美しい感興にとんだ表現をしなやかに飛翔させ、とても若々しく清新な生命感にとんでいる。
すがすがしい若葉の歌とでもいえばよいのか、パユのモーツァルトはどこをとっても清冽で、春の微風を頬に受けるような気分に誘う。
淀みがないことはもちろんだが、ただ単にサラリと表面をなぞるような演奏ではなく、もっと作品に寄り添いながら自分の歌を聴かせていく力強い充実感があり、その点が数ある若手演奏家とは異なるパユの魅力とも説得力ともなっている。
即ち、表面的な名人芸のアピールに終始するのではなく、持てる技術、音色、洗練された音楽性のすべてを駆使して作品のすばらしさを余すところなく歌い上げた至芸なのであり、あくまでも作品主体のヴィルトゥオジティを堪能させてくれるのである。
この爽快感は何度耳を傾けても色褪せない。
フルートとハープのための協奏曲は、パユのフルート、ラングラメのハープというベルリン・フィルのふたりのソロ奏者による演奏で、ともに柔らかく美しい輝きをもつフルートとハープの協奏ぶりがとても好ましい。
アバドの指揮ともども、このギャラントな作品を上品な感覚でしなやかに仕上げたよさが魅力である。
柔らかく洗練された暖かい響きと上品な色彩も魅力的で、アバド&ベルリン・フィルの柔軟な配慮の行き届いた演奏も見事である。
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