2010年10月12日

セルのチャイコフスキー:交響曲第5番&イタリア奇想曲


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実に端然としたチャイコフスキーだ。

音楽的には端正・清潔、そして意外なほどに目立つ素朴な部分が、チャイコフスキーのスラヴ的な憂愁の感情と結び付いており、控え目だが気分的異質感はまったくない。

この曲の録音は数え切れないほどあるが、これほどまでに美しい演奏は他にない。

柔らかでデリケートな響きから、明るく開放的な響きまで、響きは常に透明で、そのうえ、各楽器の溶け合いが素晴らしい。

冒頭からしばらくは、木管楽器がメロディを吹き、弦楽器が伴奏するというシーンが続くのだが、その息のあった絶妙なバランスには恍惚としてしまう。

すべての楽器が聴こえるかのような見通しのよい響きは、まるでモーツァルトのようだ。

第2楽章も、弦楽器がきれいに歌いながらも、決して下品な感情爆発路線に走らず、高級感がある。

もちろんアンサンブルやオケの技巧についてはいうまでもなく、そこに巨匠的な風格も示されている。

セルはこの演奏でかなり大胆にテンポを動かすが、合奏は恐ろしいほど見事に揃っている。

あまりに揃っているがゆえに、テンポを速めてもフルトヴェングラーのような危険なヒヤヒヤ感が希薄なほどである。

もしこの演奏に欠点があるとするなら、作曲家の生々しい心理や苦闘がまったく伝わって来ないことだろう。

それほどまでに耽美と洗練を尽くした音楽なのだ。

録音はやや古くなったが、シンフォニックな美感だけでも聴き手を納得させる好演である。

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classicalmusic at 19:30コメント(0)トラックバック(0)チャイコフスキー | セル 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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