2010年09月04日
バレンボイム&シカゴ響のワーグナー:管弦楽名曲集
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1990年代にバレンボイムは全曲盤を次々に録音していたが、それとは別に管弦楽曲集を作ったというのは面白い。しかもシカゴ交響楽団で。
オペラの全曲はベルリン・フィルだったりバイロイトだったりするのだけれど、オペラはオペラ、オーケストラ曲はオーケストラ曲ということなのであろう。
ある意味で、カラヤンがベルリン・フィルで録音した管弦楽曲集が、1970年代に当時のオーケストラ演奏の最も進んだのものひとつを聴かせたということになると、バレンボイムは1990年代にシカゴ交響楽団という楽器を使ってそういうことをやったのかなという気がする。
バレンボイムは、パリ管時代にもワーグナーにかなり強い志向をみせていたが、シカゴ交響楽団という、より適性の強い機能を手中にして、見事なワーグナーの音を作り出すことに成功している。
アンサンブルの精度の高さと音色的な配分のよさもさすがであり、音楽・音響ともに楽しめる1枚だ。
バレンボイムは、オペラにおいても確実に注目すべき業績を重ねているし、ワーグナーの表現においては、いわば天性とも思えるような強靭な力を発揮してきている。
このシカゴ交響楽団との「序曲・前奏曲集」も、それを物語るものの一つといってよいであろう。
きわめてよく知られた音楽ばかりであるが、それらが誰にも納得のいく世界を示しているのと同時に、他のいかなる追随も許さぬほど新鮮で強烈なものとなっている。
それは、バレンボイムのあらゆる音楽的希求に対して、オーケストラが不可能という文字を知らぬほど完璧に対応しえているからでもあろうが、この種のレパートリーとしては、まさに最上の1枚といっても過言ではない。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2020年05月03日 09:57

2. Posted by 和田 2020年05月03日 13:01
バレンボイムはワーグナーのオペラ全曲録音の偉業を成し遂げました(あとはショルティとヤノフスキ)。私も持っており、特にシュターツカペレ・ベルリンを指揮した初期3作(「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」「ローエングリン」)が秀逸です。このようにワーグナーの大作が廉価で入手できるようになると、ここで取り上げた序曲や前奏曲などの価値が薄れてしまいます。仰るように素晴らしいのですが、全曲の醍醐味に身を浸した者にするといかにも物足らず入門編に過ぎないと考えてしまいます。小島さんは「オペラは長いので聴かない」と以前仰いましたが、退職後お時間に余裕ができれば是非ともオペラ全曲を聴いていただきたく存じます。ちなみに私はワグネリアンです。