2010年09月06日
キーシン&小澤のラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
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1909年、まだロシアに居を構えていたラフマニノフがアメリカに訪問した際に自らのピアノで初演したピアノ協奏曲の大作。
人気のある第2番以上に曲想は一段とラプソディック、ほとばしるような情熱が盛り込まれているし、ロマンティックな美しさも豊かで、作品から与えられる感銘はピアノ協奏曲の女王といいたい衝動にかられるほどだ。
ホロヴィッツをはじめとする名演がならんでいるが、1993年1月、キーシンが22歳の時にボストン響の定期公演でライヴ録音したこの演奏は、奔放さと節度の微妙にして最善のコントロールがはかられた名演であり、若き天才ピアニストの凄さを見せつけられる。
キーシンは遅めのテンポでじっくりと運んで、明快なタッチで持ち前の澄んだ美音をニュアンスこまやかに生かしている。
緩急の変化を大きくつけた演奏はスケール大きく、きわめて幅広い表現力をもっているが、冴えた技巧を存分に発揮した圧倒的なクライマックスから最弱音のひそやかな歌まで、その演奏は常に見事にコントロールされており、共感や情熱故にいたずらに音楽の形を崩すことがない。
ことに第1楽章後半以降の表現は無類で、キーシンのデリカシーと共感に溢れ、ニュアンスに富んだ美音を紡ぎ出すソロを、洗練されたのびやかで美しいオーケストラの響きが柔らかく包みこんでいく。
小澤征爾&ボストン響の熱きバックアップも見事であり、洗練された響きと表現で柔軟に懐深く支えて、キーシンのピアノを巧みに引き立てている。
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