2010年09月15日
チョン・ミュンフンのベルリオーズ:幻想交響曲
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チョン・ミュンフンは、今から10年程前、私が最も注目していた指揮者のひとりである。
この《幻想交響曲》は、彼のディスクを代表するといってよい傑作だが、何よりも磨きぬかれたオーケストラの音色と合奏力がすばらしい。
フランス音楽は、このような響きでなくてはなるまい。
したがって、つややかな弦と豊麗な管楽器が輝かしく、アンサンブルは緻密で透明、独自の繊細感にみちあふれている。
一般のフランス風をつきぬけたきびしい演奏といえるが、これこそがミュンフンの薫陶の賜物であろう。
もともとはピアニスト出身のミュンフンだが、指揮の才能はそれ以上で、オーケストラを自在にコントロールし、自らの音楽を完璧につくりあげてしまう。
この《幻想交響曲》では曲のストーリーから来る異常な音楽的揺れに対してまさにしなやかに、奥深く描いてゆく。
冒頭の憂鬱な雰囲気を大きな呼吸や溜息のように、実に細やかに弦に表情を与える所などは、ミュンフンの豊かな音楽性とそれを具現化する棒の技術がいかに高いかを証明している。
第1楽章の提示部が反復され、コルネットが追加されているのもよい。
その決然とした表情には、若々しい覇気がみなぎっている。しかもテンポは緩急自在、大胆な表情の音楽が奔流のように流れる。
まさに痛快な音楽で、第4楽章では力が充満し、終楽章ではあの奇怪な音響と音楽が完全に一致している。
そのなかに躍動的な生命力が放射されている。
パリ・バスティーユ管のアンサンブルや特に柔らかな音色はきわめて魅力的に響く。
この頃は政治的にぎくしゃくする不協和音もあったが、音楽的には全く関係なく、ミュンフンは自らの才能を演奏にぶつけている。
ただただ感嘆のほかはない演奏である。
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