2010年09月17日
ブリュッヘンのモーツァルト:セレナード第10番「グラン・パルティータ」
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当コンビのモーツァルト・シリーズの第5作で、初のセレナード録音だった。
ホグウッド盤と同じく、基本的には自筆譜に基づく新モーツァルト全集版によるものといってよい。
18世紀オーケストラの管楽器セクション(+コントラバス1名)のメンバーたちによるこの録音は、当時の管楽器を用い、きめ細かに配慮されたアンサンブルが展開されている。
モダン楽器による演奏に比べると、微妙な色合いと質朴な手応えに富んでいるのが特徴で、ハーモニーの綾がきっちり再現されている点も好ましい。
演奏そのものから受ける印象では、豊かなリリシズムとリズム感との対比がみられ、結果的にそれらの生気にみちた表現を生み出しているのが魅力だ。
映画『アマデウス』で用いられ、大人気を獲得した第3楽章でも、ブリュッヘンの指揮のもとで、メロディ・ラインを縁取っていく各楽器が絶妙な呼吸感を発揮して、伴奏音型を奏する際にもその存在感を存分に主張しているのが大きな聴きどころになっている。
第4楽章や終楽章のきわめて活力に満ちた表現は耳に残ることだろう。
また第5、6楽章では音楽のもつ対比感が巧妙に描き出されている。
慎重に、隙なくまとめられたモーツァルトはつまらない。
ことに、こうした管楽器のための合奏曲では、運動性というのか、快活な一発勝負の躍動感を求めたい。
ブリュッヘンの演奏は、各パートの巧さと積極的な表現意欲が、ブリュッヘンの冷静な、しかし豊かな感情の起伏をもつ指揮のもとに、見事な花を咲かせており、音楽的にも、また情感の盛り上がりの点でも、理想的な高みに達している。
わずかに管楽器ならではの庶民性が乏しい点が惜しいが、この作品のまずは標準的な名演ということになろう。
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