2010年09月20日
ブリュッヘンのベートーヴェン:交響曲全集
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名曲だけに多くのCDがカタログを飾っているが、現代における最もオーセンティック(本物)な演奏は、ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラであろう。
各曲の初演当時の編成と楽器を用い、オリジナルに徹したところが、極めて説得力が強い。
ブリュッヘンの指揮も、メリハリをはっきり付けたバロック的ともいえるスタイルで、オーケストラのアンサンブルも緻密そのものである。
オリジナル楽器によるベートーヴェン交響曲全集だが、内容は極めてロマンティックというか、ブリュッヘンのカリスマ性で一貫された名演といえる。
わかり易くいうと、フルトヴェングラーがオリジナル楽器のオーケストラを振っているような演奏である。
実に主観的で劇的な要素に満ち溢れ、強弱のはっきりした表現はバロック的ともいえるが、コンセプトはやはりロマンであろう。
ブリュッヘンは手段としてオリジナル楽器を用いているが、本質的にはワンマン・コントロールの古いタイプの指揮者に属している。
そこがまたこの全集の面白いところで、オールド・ワイン・ニュー・ボトル的な、新鮮な感動に誘われるのである。
そして何よりもオーケストラのメンバー全員が、自発性に富んだ演奏で応えているのが、聴く楽しさを倍増させている。
当初は「モラルとして18世紀の音楽だけ」を演奏するはずだった18世紀オーケストラが、19世紀にも足を踏み入れたのは「英雄まで」でベートーヴェンを打ち止めには出来ない強い音楽的欲求が、ブリュッヘンと楽員の両方にあったからに違いない。
記念すべきデビュー盤の第1交響曲から実に8年の歳月をかけて、1曲ずつを丹念に克明に彫琢したライヴによる全集が、「第9」をもって完成した。
進取の気質を備えたその「第9」を「新旧の楽器の混在」という形で表現したように、ブリュッヘンは9曲すべての来歴を尊重した演奏を行っている。
しかも、たんに歴史を満足させるだけでなく、現代の先鋭な解釈でもあるところが凄い。
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