2010年09月30日

ギレリスのモーツァルト:ピアノ作品集


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



ギレリスはロシアではじめてモーツァルトを本格的にとりあげたピアニストのひとりだそうだが、1970年1月28日、ギレリスのDG初録音となったザルツブルク・モーツァルテウムにおけるライヴは、彼のモーツァルトのすばらしさを強く印象づけた。

収録されているのはすべてモーツァルトの曲。

ソナタの第3番と第8番、二短調の幻想曲、それにK398の変奏曲である(2枚目にはベームとのピアノ協奏曲第27番他も含まれている)。

ここにおけるギレリスは、それぞれ矜持あふれ、自立した音を駆使して、造型的にも情感的にも確固とした世界を築き上げており、すばらしい。

他ではあまり聴けないような格調の高さをもったモーツァルトだ。

この時期、ギレリスは各地でモーツァルトを集中的に演奏したが、まったく曖昧さのない明晰な音と洗練された表現がすばらしく、とくに後半の二短調の幻想曲とイ短調ソナタは、ギレリスが真の円熟期を迎えていたことをはっきり物語っている。

ギレリスの円熟をはっきりと印象づけた名盤で、卓抜な技巧と清澄で美しく確かな芯をもつ音によって弾かれた音楽は、いかにもしなやかで気宇が大きく、同時にそこには作品への透徹した読みがとても親しみ深く歌われている。

このギレリスの演奏からは、モーツァルトの音楽に対する限りない愛情と優しさが伝わってくる。

しかしその愛情と優しさは、決して表面的でヤワなものではなく、音楽を突き放すところから生まれる、いわば"生"の深淵を覗き込むような眼差しがあり、"音楽"がまさに音楽であると同時に"哲学"になっている。

そうしたギレリスの凄さは格別であり、まさに大人の演奏である。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 18:30コメント(2)モーツァルト | ギレリス 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2020年05月29日 09:40
4 エミール ギレリス, リヒテル以上に私が敬愛するピアニストです。若い頃はピアノがこんなに鳴る楽器かと思う程, 強烈な印象を残しました。円熟期になってしなやかさと柔軟さが顕在化しましたが,私はどちらのギレリスも好きです。彼の18番は何といってもベートーヴェンで, 彼のディスクは絶対外せません(全集完成前に逝去したのは大変残念ですが)。モーツアルトも素晴らしく, 特に幻想曲とベームと共演した27番は揺るがない傑作と言えるでしょう。内田光子が彼のピアニズムを嫌っていたので日本では余りファンが居ないのかも知れませんが, このウクライナの巨匠も音楽と人間性には共感せざるを得ません(内田光子も彼の人間性には魅かれていた様です)。
2. Posted by 和田   2020年05月29日 13:07
同感です。ギレリスは1972年からドイツ・グラモフォンと契約し、質のよいディスクなどが相次いでリリースされるようになっていったことは、彼本人にとってはもちろんですが、われわれファンにとっても幸運であったと言えるでしょう。なぜなら従来の彼のディスクなどは必ずしもすべてが音の状態がよいというものではなかったからです。ドイツ・グラモフォンとの好ましい協調関係は、ギレリスが亡くなる85年まで順調に保たれたので、彼の後期のレコーディング活動は、名実ともに恵まれていました。
この時期、ギレリスが全力を傾注させていたのはご指摘の「ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ全集」の完成でした。全集自体は、85年の彼の突然の死によって、あと5曲のソナタを残して、ついに完成させることはありませんでしたが、残された演奏は、まさに彼のライフワークにふさわしい充実したものばかり。あたかも全集の猝ご阿離肇襯宗辞瓩箸靴討琉厖討髻∈Fに至るまで放ち続けていると言えるでしょう。現在の価値観で考えるなら、ギレリスほどのピアニストであれば、もっと短い期間でベートーヴェンのソナタ全集を作ったとしてもよかったでしょうに、13年もの長い時間をかけて、全32曲中まだ5曲のソナタを残していたという歩み方自体が、いかにも誠実な彼らしいものと、私には思えます。とは言えギレリスの芸風にぴったり合致していたと考えられる第32番が録音されなかったのは残念至極です。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ