2010年10月03日
クラウスのモーツァルト:ピアノ・ソナタ全集(旧盤)
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
1956年のモーツァルト生誕200年を記念して、シャルランが録音した名盤。
クラウスは、《モーツァルト/ピアノ・ソナタ全集》を2度録音している。1950年代のモノーラル盤、60年代のステレオ盤がそれ。
クラウスは年齢を重ねるたびにその演奏は、いわゆるロマン的傾向を強めていった。
モーツァルトとて例外ではない。加齢がそうさせたのだ。
だから新旧の全集のどちらを選ぶか問われれば、私は感情移入が過剰ではない古いモノーラル盤に軍配を上げる。
モーツァルト弾きクラウスの、まさに円熟の域に達した51歳の演奏が悪かろうはずがない。
クラウスはここで、ごく自然にモーツァルトに立ち向かっており、音の美しさ、軽妙なリズム感、生き生きとしたニュアンスなど、耳を傾けさせる部分も少なくない。
余分な華麗さのない極めて清潔な表現だが、それでいて決して冷たい音楽ではなく、いわば血の通った人間味のある温かさが隅々まで行き届いている。
ヒューマンなモーツァルトとして余分なところも足りないところもない、実に完成度の高い演奏である。
ただ演奏にはテンポの揺れがみられるが、それはクラウスが意識してつくり出し、設定したものだ。
したがって、彼女の様式感になじめるかが、このモーツァルトの好悪の別れめになるだろう。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。