2010年10月22日

ツィマーマンのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集


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この演奏に接した聴き手は、あるいはこれがベートーヴェンとしては綺麗で抒情的すぎるという印象を受けるかもしれない。

しかし、不純物を取り除いたツィマーマンの表現は、作品に秘められた美のイデアに個性的で独自のアプローチを試み、ユニークな成果を収める結果をもたらしているのである。

第1、第2、第4が出色であるが、最初の2曲でしばしば窺われるリリックで繊細な表情の冴えは、やはり絶品である。

第1番と第2番はツィマーマンの弾き振りによる演奏。

第1番はウィーン・フィルの響きの美しさと相俟って全体に豊かなカンタービレが漂う演奏。

ツィマーマンのタッチもきわめて自然、誇張や無用の自己主張は私に常に抵抗を覚えさせるので、できる限り自然体の歌心によって描出される演奏を推す。

第2番は何よりもピアノの音色美にまいってしまう。

録音も極上だが、ツィマーマンのテクニックも音楽自体も透徹し切っているのだ。

不純物のまったく見られない切れ味の鋭さに驚かされる一方、艶やかさと即興性にも欠けておらず、単なるメカニックな演奏ではない。

第3番はツィマーマンの器の大きさを改めて印象づけられた演奏で、表情ゆたかで起伏にとんだバーンスタインとウィーン・フィルに対して、少しも肩張ることなく自分の音楽を健やかに貫いている。

明快な表現と端正で深く澄んだ歌をいきいきとたたえた演奏は、まことに志が高い。

第4番は作品をとらえる眼差しの鋭さと演奏家がもつ人間的味わいの豊かさに心奪われるズシリと重い名演。

ツィマーマンのピアノは音の結晶体ともいうべき輝きと美しさを誇り、バーンスタインの指揮は作品への限りない愛情を裏付けとした奥深さがあり、聴き入らせる。

第5番「皇帝」は巨匠ならではのスケール感と壮麗さを誇りながら、初々しい抒情のひらめきも併せ持った稀有の名演。

ツィマーマンのピアノは高潔なる気品と熱い生命の躍動感を一貫させ、バーンスタイン=ウィーン・フィルが伝統の重みとふくよかさでそれを包み込んでいる。

全体的に、一見すると感興のままに、なんて演奏とは無縁みたいなツィマーマンが、実はバーンスタインと共通した音楽の性格をもっているのが明らか。

音はあくまで硬質な響きを保ち、スタイルも、ぎりぎりまで達しながら崩れないツィマーマンのピアノはすばらしく、そのピアノと絡み合い、煽り立て、いわばどんどん火をくべる役を果たすバーンスタイン指揮のウィーン・フィルとぴったり。

ライヴもので大成功も大失敗もあるバーンスタインの、1989年ライヴのこれは、大成功のほうに属する。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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