2010年10月16日

カラヤン&ベルリン・フィル ライヴ・イン・東京1977 ベートーヴェン:交響曲全集


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カラヤン&ベルリン・フィルの1977年来日公演におけるベートーヴェン・チクルス。

カラヤンはいま再評価されつつあるようだが、この演奏でも現代的な尖鋭さと優美さ、独自の重量感を兼ね備えた感覚美、そして着実な造形力が、実にみずみずしく歌う豪壮な音楽をつくっている。

この古典的な様式美とロマンティシズムが見事に融合している交響曲を、カラヤンは精妙極まりない響きとダイナミズムで表現している。

きわめて平衡感の強い、活力にみちた、完成度の高い表現である。

第1番は洗練された流動性とともに、カラヤン独自の豪快な表情があり、ベートーヴェンの初期作品にすでに中期的な性格があることを感じさせ、興味深い。

とはいえ、彼特有のスマートな表現だ。

「英雄」は端麗ななかにも力強さがあり、カラヤンの個性が端的に示されている。

爽快でスピード感あふれる演奏であり、オケの機動力を最高度に生かしている。

それがベートーヴェンの音楽的本質をむしろわかりやすく表現してくるのは素晴らしいことだ。

ベートーヴェンには、カラヤンの資質を自然に受け入れる大きさがある。

カラヤンはこの作品の本質美をテクスチュアの丹念な彫琢によって見事に表現している。

第2番は躍動的なリズムや明るい表情、自然な流動感がカラヤンの音楽的本質から生み出され、ベルリン・フィルも緻密で柔軟性をもった見事なアンサンブルを展開している。

第8番はさらに艶やかに磨かれた演奏だ。

構築的なバランスもすぐれており、ベルリン・フィルのアンサンブルの有機的なまとまりの良さは驚異的である。

「田園」は重厚な響きを持つ反面、第1楽章から颯爽とした足どりで軽快に流れており、この相反する2要素の融合がカラヤンの演奏の特質を形成している。

嵐の場面の緊迫した演奏も、カラヤン一流のものといえるだろう。

「運命」は非常に劇性の強い表現で、カラヤン独自の解釈が表されているのが興味深い。

しかし音楽的には極めて充実し、洗練された秀演である。

第4番は素晴らしく明晰で平衡感の強い音楽でありながら、ロマン的な気分と気宇の大きさをもった秀演。

ファゴットをはじめ随所に登場する管楽器のソロの扱いとベルリン・フィルのメンバーたちのうまさも格別で、演奏の完成度も非常に高い。

第7番はさらにカラヤンの個性を強く示した演奏で、第2楽章の歌謡性はカラヤンならではの美しさだ。

終楽章は凄絶な迫力を示しながらディテールは繊細。

こうした芸当が出来る指揮者は、カラヤンくらいのものだろう。

「第9」のもつ祝祭的で劇的な性格と雄大な構成は、カラヤンという指揮者の美学にふさわしい。

したがってこの演奏には冒頭からただならぬ気配があり、凄いほどの気力に貫かれている。

高度に完成された名演である。

録音も会場の熱気を充分に伝えている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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